Engadget 例大祭 トークセッション:「普通さ」がすばらしいJINS MEME #egfes

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5月30日に開催されたEngadget 例大祭。14時30分からは、先に開催されたJINS MEME(ジンズ・ミーム)ハッカソンの開催を通して見えたウェアラブルアプリ開発の未来についてのトークセッションが行われました。

JINS MEMEの開発を担当してきたジェイアイエヌの佐藤拓磨さん、JINS MEMEのAPIの開発を担当するライゾマティックスの堀宏行さん、さらにハッカソンの最優秀チームメンバーである菊川貴信さん、そしてギーク女子の池澤あやかさん、Engadgetからは鷹木創編集長も登壇。それぞれの立場からJINS MEMEやウェアラブルガジェット全般に関する熱いトークを繰り広げました。詳細は続きをどうぞ。

楽しみと不安が混在したJINS MEMEハッカソン



「最近、いろんなところでハッカソンが行われていますが」という言葉で始まったトークセッション。一ヶ所に集まり、限られた時間内でプログラムを組んだり、開発を行うハッカソンには、アートに特化したものや100円ショップのグッズを使うものなど様々なものがあります。いずれのハッカソンもアイデアをまとめ、おもしろい発想をカタチにするオープンイノベーションの場になっており、最近ではずいぶん数が増えています。

4月25、26日にはジェイアイエヌが開発した、三点式眼電位センサーを搭載するアイウエア「JINS MEME」を使ったハッカソンが開催されました。

写真右は、ジェイアイエヌの佐藤琢磨さん。JINS MEMEプロジェクトのファームウェア、SDK、スマートフォンアプリやWEBサイトの設計、開発管理などを担当。JINS MEMEハッカソンにも立ち会っていました。

中央は、ライゾマティックスの堀宏行さん。プロジェクト発足時からAPIの設計を主に担当し、JINS MEMEハッカソンでは、中間プレゼンテーションなどで実現の可能性に関して、厳しいコメントをしていました。

写真左の菊川貴信さんは、先に開催されたJINS MEMEハッカソンで大賞を受けた「EyeSync」を開発した最優秀チームのメンバーです。

プログラミングもできる女優、池澤あやかさんも、ハッカソン参加者、開発者の目線からのトークセッションに参加。そして鷹木編集長も登壇、トークの進行を担当しました。

トークセッションはJINS MEMEとのハッカソンに関する話題からスタート。

「JINS MEMEは、メガネ型のウェアラブルガジェットではなくメガネなんです」と語るのは、佐藤さん。「メガネを扱うJINSとしてそれは譲れないところ」とのこと。JINS MEMEは、眼電子という眼球運動に伴う目のまわりの電位差を計測して視線の移動やまばたきを検知したり、体軸や体幹の傾きを検知することができるメガネ。データはスマートフォンのアプリで処理すると解説。ジェイアイエヌの社内だけでなく、いろんな人たちの協力を得ることで、おもしろいアプリができるのでないかと、JINS MEMEハッカソンを開催したと佐藤さんは話しました。

「みんなが揃って話をする場であるだけでもハッカソンには価値があると思います」とライゾマティックスの堀さん。JINS MEMEハッカソンではアドバイザーとしての参加でしたが、参加チームを見ていると、うずうずしてしまったとのこと。

一方、参加者から見たJINS MEMEハッカソンでのモノづくりについて菊川さんは、「最初のブレスト、アイデアを出すアイデアソンで7、8割勝負が決まってしまう傾向にあると思います」とのこと。ただしいくらアイデアは優れていても作り込みが足りなかったら評価されないので、自分やチームのハッカソンにおける立ち位置を考えながら、後半戦もがんばっていくかを考えていましたとのこと。

菊川さんが所属するチームのアイデアは、会場での評価は高かったものの、カタチにできるかわからなかったとか。「幸いなことにプログラマーになんとかでき上がるんじゃないかと言ってもらったので、私はそれにおんぶに抱っこで(笑)。実は他チームと意見交換できたんですよ。ブースに囲まれた場所で作業していましたが、どうなの? って言いながらみんな会場を回っていて。私たちは、差別化を図るべくアイデアを婚活デバイスに落とし込んだんです。いろんなチームがあったからこそ、私たちはここにたどり付けたんだと思います」と菊川さんは、明かしてくれました。

池澤さんも「私も数回、ハッカソンに参加したことがあります。その時はチームで開発しました。ハッカソンは短期間だというところが壁でもあり、おもしろいところでもありますよね」とのこと。作りきれないことも多いし、アイデアがまとまらず満足できないこともあって......と、実にギーク女子らしい発言。

データを採れるようになりカタチになったものの、このまま誰の反応も見ずに世に送り出していいのかと心配がJINS MEMEハッカソンが開催された理由とのこと。当日はエンジニアだけでなくデザイナーや企画を立てる仕事の方など、いろんな方に参加しましたが「どんな反応を見せてくれるのか、楽しみと不安がごちゃまぜになりながら、いっしょに過ごさせていただいたことを覚えています」と佐藤さんは当日を振り返っていました。

「頭が良くなるメガネ」と「普段使いできるメガネ」



液晶ディスプレイがないなど、そもそもウェアラブルデバイスはハードウェア的にプアであることが多いもの。計測した数値データをそのままログとして常に吐き出すだけのデバイスをどう魅力的にするか、そのキモは連携するアプリ、数値データをどう表現するかにかかっている。

「JINS MEMEは視線の方向、まばたき、体軸のブレのデータをどんなアプリ、サービスにつなげていくのかがの課題です」と答える佐藤さん。上を向くなどの動きをトリガーにしてキャラクターを操作するゲームが、JINS MEMEとアプリをうまく連携させたアイデアの例として紹介されました。

そもそも、ジェイアイエヌの田中社長の「かけたら頭がよくなるメガネは作れないか」というアイデアがJINS MEMEの始まりだったとか。

「なぜ私がウェアラブルデバイス型のメガネだと強く言っているかというと、JINS MEMEは普通のメガネなんです」と佐藤さん。当日、佐藤さんはJINS MEMEをかけていましたが、その姿はいたって普通。センサーを内蔵したメガネをかけているようには見えませんでした。

「JINS MEMEには、普段使いできることというコンセプトがあります。他のメガネと同じく毎日使ってもらうことでデータを採っていくことを大事に考えており、そのため多くの機能を搭載しないという前提で開発されました」と佐藤さんは続けました。

JINS MEME合コン、開催!?



そして、いよいよ実演。アプリはJINS MEMEハッカソンで最優秀賞を獲得した菊川さんのチームが開発した「Eye Sync」。

人と繋がりたい、合コンやパーティの時用のアプリで「見つめ合う時間が長いほど勝ちになるアプリです。相性診断も可能で、長く見つめ合うほど相性のパーセンテージが高くなるという二段構えになっています」と菊川さん。

菊川さんと池澤さんが実演。「池澤さんが仮面舞踏会みたいなメガネをかけるなんて斬新なんですけど......」というツッコミに会場からは笑い声があがりました。

「一方が目を離すと終了です。今後、相性診断の結果が80%になったらメールのやりとりができるようになる機能を付けられたらおもしろいかなと考えています」と菊川さんも笑いながら答えていました。池澤さんの「合コンで使って欲しいですね。JINS MEME合コンとかいいんじゃないですか?」という提案に、ライゾマティックスの佐藤さんも「盛り上がるとは思いますが、オフィシャルにはやってみたいと言えないですね......」と苦笑い。

「展示ブースで体験できます。ただし見つめ合う相手は菊川さんですけどね」というアナウンスに、また笑いが。

「普通」がこれからのキーワード



仮面舞踏会のような「Eye Sync」はともかく、今後、IoTの時代になることで見る者をぎょっとさせない、変だぞと思わせない普段づかいできる自然なカタチであることが、今後、ウェアラブル機器を開発していく上で気にかけなければならない重要な点ではないかという問いに一同賛成。佐藤さんは「派手なデバイスはカッコいいし個人的には好きなのですが、目的に応じたカタチがある。どこにでもある生活の中で普通にあるもの。我々はそんなウェアラブル機器を作っていこうと考えています」と発言しました。

堀さんは「今後、世の中はどんどん変わっていくし、新しい技術も生まれてくる。今、普通だと考えているが、普通じゃなくなることも往々にしてある。例えばこのデザインだとバッテリーは8時間しかもたないが、もうひとつのデザインだと16時間持つ。そんな選択に迫られた時に最も重要なのは生活に根ざしたデザインになっていること。実生活で使い続けられるものでなければ、意味がない」と続けました。

日本人の多くがメガネをかけている。JINSのおかげで価格も下がり、2、3個持っていることも珍しくない。菊川さんは「私は時計を複数持っていますが、心拍が計測できるものやGPS内蔵の登山用のものなど、シーンで使い分けています。今日はJINS MEME、明日は普通のものといった使い分けがメガネにあってもいいな思います」と話してくれました。

さらに「JINS MEMEの新しさは、ファッションとしてすてきなものを選べるようにしたところだと思います」と池澤さん。他社のメガネ型デバイスはやはり特殊すぎるデザインで、普通の人にはかけづらい。一般的な人でもかけられるJINS MEMEのような存在が、ウェアラブル機器の今後を切り開いていくんじゃないかと感じましたと感想を述べました。

「ファッションデバイスなのか、IoTデバイスなのか、それとも新しい道具として捉えるのかの違いで、これからのウェアラブル機器は変わってくるかもしれない。まったく新しい用途であれば、それに応じたカタチも生まれてくるはず。毎日身に付けるファッション的なデバイスなら、普通のデザインのほうがいい。それまで身に付けていたものと同じ動きのもののほうがいいだろうな、と思います」と鷹木編集長はまとめました。

その後、来場者への質疑応答が行われました。JINS MEMEは当初からセンサーに特化していようという方針だったのかという質問に佐藤さんは「メガネが外の情報をキャッチするという機能だけでなく、自分でもわかっていない内側の情報をメガネを通してわかる、JINS MEMEの自分を見るメガネというコンセプトは、いろんな議論を尽くした上で固まったと聞いている」と解答。さらにJINSが得意とするコラボ商品に関する質問に対して明言は避けながらも、可能性はあると示唆しました。

今秋に予定されているJINS MEMEの発売後にもハッカソンが開催されるのか、という質問に対して佐藤さんは「続けていきたい、私はやりたいと思っている」と力強く返答しました。

「JINS MEMEにご期待ください!」という佐藤さんの言葉で、熱いトークセッションの幕が降りました。