※画像はイメージ(Photo By bigbirdz from Flickr.)

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 韓国で中東呼吸器症候群(MERS)感染拡大の疑いが広がる中、一部の中国人観光客が韓国旅行を取り消したことがわかった。韓国旅行社最大手のハナツアーによると、6月4日から11日にかけて北京や上海から訪韓する予定だった中国人観光客300人が予約を取り消したという。

 昨今の観光事業において、“爆買い”中国人観光客を集められるかどうかは最も大きなテーマだ。韓国の観光業界は、MERS感染拡大の余波で、中国人観光客がさらに韓国から離れてしまうことを恐れている。というのも、ただでさえ最近、中国人観光客の“韓国離れ”が進んでいたからだ。

 韓国文化観光研究院の調査によると、韓国を訪れた中国人観光客の満足度は、調査対象16カ国中15位と最低レベルで、再訪率はたったの25.7%しかない。韓国は“ショッピング天国”として一時は中国人観光客の人気を集めていたが、実際に訪れた4人のうち3人が「もういいや」と、そっぽを向いてしまっているということになるわけだ。

 一方、日本を訪れる中国人観光客が爆発的に増え続けており、2015年1〜4月で132万9,000人に達した。前年同時期比98.9%増と、約2倍に増えている。韓国を訪れていた中国人観光客が日本に流れている、との見方もある。

 だが、それは仕方のないことかもしれない。世界経済フォーラム(WEF)が最近発表した「旅行・観光競争力レポート2015」によると、日本は141カ国中9位。一方の韓国は29位と、大きく水をあけられた。日本が世界1位と評価された「鉄道インフラの質」においては韓国も10位と善戦したが、「顧客対応」では日本1位、韓国18位と差を見せつけられる結果に。また、韓国は「価格競争力」も109位と前回よりも大きく下落しており、「空港密度」では123位と世界最低水準の評価を受けている。

 同レポートには、評価結果が一目でわかるヒートマップが国家ごとに作られているのだが、日本と韓国のものを比べると、韓国は日本の“劣化版”という印象を受ける。両国ともに評価の高い項目と低い項目が似通っているのだが、全体的に韓国の数字が悪いからだ。中国人観光客が日本を訪問先として選ぶのもうなずける結果だろう。

 さらに韓国に打撃を与えているのは、中国人観光客が使う金額が下がっているという現実だ。ロッテ百貨店によると、今年1〜4月にソウル小公洞本店を訪れた中国人観光客の客単価は58万ウォン(約6万4,000円)で、14年の同時期に比べると10%以上も減少していることがわかる。13年は客単価90万ウォン(約10万円)だったので、2年で約35.5%も減ってしまったのだ。その背景に、日本の円安があることはいうまでもない。

 国家としての信頼性、ショッピング意欲に直結する価格面で日本に後れを取り、さらに今後はMERS感染拡大の影響も受けることになりそうな韓国。中国人観光客の“韓国離れ”は、ますます加速していきそうだ。