お腹の膨らみの要因に、内臓に腹水が溜まっている場合があることを指摘してきたが、実はもう一つ、重大な病気として挙げなければならないのが心不全だ。
 心臓のポンプとしての機能に障害が出て、血液を十分に送り出すことや戻ってきた血液をスムーズに取り込めなくなる状態を心不全というが、その場合も腹水が溜まるという。

 循環器系クリニックの足立毅院長が言う。
 「心不全は、心筋梗塞や心臓弁膜症、高血圧など、あらゆる心臓病で起きる症状です。心不全で腹水が見られるのは、右心室の機能が衰える右心不全の時で、静脈がうっ血し、全身に血が固まります。血液の循環が悪くなるため栄養が行き届かず、疲れや脱力感があり、手足が冷たくなります」

 ここまでは“ぽっこりお腹”に潜む重大な病気について示してきたが、そこまでに至らず、単に内臓脂肪が溜まり、その状態になる可能性もある。
 加齢とともに基礎代謝が低下すると太りやすくなり、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)のリスクが高まり、お腹ぽっこり現象が起きる。
 そもそも太ってしまうのは、摂取カロリーが消費カロリーより多いからだ。一般の成人の摂取カロリーは、1日約2000キロカロリー。これを大幅に上回ると、余ったエネルギーは体脂肪となってしまうことを知っておくべきだ。

 1日摂るアルコールにしても、適量は約20グラム(日本酒で1合程度)。また睡眠不足は食欲が暴走しやすくなるため、1日6時間以上の睡眠をとり、日中は体を動かして寝酒などはしない努力が必要だ。
 「一見、優等生の発言に聞こえるでしょうが、こうした努力でメタボを食い止め、重大病に繋がる要素を事前に取り除くことで健康維持を保つ。とても大事ことです」(医療ジャーナリスト)

 一般的には、お腹周りが男性だと85センチ、女性で90センチ以上だと、「内臓脂肪型肥満」と判定される。こうなると高血圧や脂質異常症、糖尿病など、あらゆる生活習慣病の元凶になる。体重の負荷が増せば、腰、ひざの痛みも起こす。食べ過ぎ、運動不足に注意しなければならない。
 「特に外食やファストフードが多い人は要注意です。また、就寝直前まで食べていると、血糖値や中性脂肪の値が上がる。加えて、よく噛まないと食べ過ぎにつながるため、500キロカロリーの食事を20分かけ、満足感を得ることが好ましい。噛むと血糖値の上昇が緩やかになるため、糖尿病の予防にもなります」

 こう言うのは、新潟大学病院元管理栄養士で料理研究家・林康子氏だ。
 「植物繊維と発酵食品の不足は、腸内環境にも影響し、悪玉菌が増え免疫力が落ちます。濃い味付けは塩分が高めで、摂り過ぎると血圧が上がり動脈硬化を引き起こしてしまう。1日に必要な塩分は6グラム未満。例えば、ラーメン1杯には約5グラムの塩分が含まれているので注意してください」(同)

 “ぽっこりお腹”の原因を追及してきたが、とどのつまり、重要なことは日常生活の生活習慣の見直し。それらをきちっと整えられれば、健康維持は間違いなくできるのだ。