「日本には『外国人差別』に対する罰則がないですよね」。留学生への支援活動を行う特定非営利活動法人(NPO)「東京エイリアンアイズ」(TAE)の創設理事、高野文生さんは言う。外国人が日本で最初にぶつかる問題が、住居探しだ。「外国人はちょっと…」と入居を渋る家主や不動産業者もまだ多い。

 保証人問題もある。入居・進学・就職など保証人が必要な場合、日本人は親や保護者に頼むことができるが、留・就学生の親は保証人になれない。

 外国人学生にとっては、アルバイト先を見つけるのも一苦労だ。「電話して、『留学生です』と言ったら、すぐ断られました」。アルバイト募集広告を出している、大手のファストフード店だったという。面接までこぎつけても、「今回は採用を見合わせます」と言い渡されたという話もしばしば耳にする。

 このため多くの学生が、「友人の紹介」で仕事を引き継ぐか、もしくは出身国の料理店で働いている。外国人学生が集まるウェブサイトでも、アルバイト情報が飛び交っている。

雇う側はどう思っているのか

 アルバイトを雇う立場の日本人は、外国人学生に対して、どのような意見を持っているのだろうか。

 「外国人だから雇わない、ということはしていない」。インタビューに応じたコンビニエンス・ストアや飲食店の店主は、口を揃えて言う。ただし、「日本語をしゃべれることが大前提」だ。あるコンビニエンス・ストアの店長は、「習慣の違いは大きい」と話す。例えば、日本人がよく口にする「すみません」という言葉を、あまり使わない外国人学生の接客は、無愛想に見えることもある。「日本には違うルールが存在することを分かってほしい」。

 また、コミュニケーション力の不足でトラブルが発生することもあるという。「接客業ではお客様が第一。敬語を完璧に使えとは言わないが、日本語を勉強するつもりでアルバイトをされるのは困ります」。

 しかし、ある飲食店の店長はこれまで何度も外国人学生を雇ったことがあると話し、「彼らは骨惜しみしない」と評価する。日本語会話能力と働く意欲があれば、積極的に雇っていきたいという。アルバイトの中で、外国人学生が稼ぎ頭という店もあった。

日本社会に溶け込んで

 2003年6月に、福岡県で、中国人留学生が一家4人を殺害する事件が起きた。その後、日本社会の留・就学生に対する視線は厳しくなった。「外国人学生の犯罪率が増加している」というイメージが定着しつつあることも否めない。

 その一方で、「あきらめないでアルバイト先を探せばきっと見つかる、とメッセージを送りたい」と語るファストフード店の店長もいた。外国人従業員と客が和やかに会話している光景も、珍しいものではなくなった。「普通の場面に、普通に存在できるようになるといいですね」。語学学校のある教師が語った言葉が、印象的だった。【了】


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