「Thinkstock」より

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「電車内はスマートフォン(スマホ)を見ている人だらけ」「スマホを歩きながら見ている」などという光景はごく当たり前になり、なかにはスマホと顔の間が10cmくらいしか空いていない人も見受けられます。「これでは目を悪くしてしまう」と注意を促す声が大きくなってきました。

 目に悪影響を与える要因としては、ブルーライト(青色光)が指摘されています。ブルーライトはノーベル賞で有名になった青色LEDが出す光だと説明すれば、理解されやすいでしょう。ブルーライトはスマホやパソコンのバックライトに使われていますし、白色LEDにも使われています。

 ブルーライトは目に見える光の中では最も波長が短いため、エネルギーが強いので、目の奥の網膜にまで届いてしまいます。紫外線はブルーライトよりも波長が短くパワーは強いですが、実は角膜や水晶体にブロックされる特性があるのです。ブルーライトが網膜とその中心部の黄斑に届くと活性酸素が発生し、それによって細胞は死滅していくことで加齢黄斑変性症発症の原因になります。

 加齢黄斑変性症はアメリカでは中途失明原因の第1位、日本では第4位で、今後増えると推測されています。網膜の中心部にあって視覚に最も大事な黄斑に障害が起こる疾患で、視野の中心がゆがんだり暗くなったりして見えにくくなり、最悪の場合は失明に至ります。治療法としては「抗血管新生薬療法」「光線力学療法」「レーザー治療」などが行われており、進行したケースではiPS細胞による治療に大きな期待がかかっている状況です。

 このままブルーライトの影響を受け続けると、現在では70歳以上で増えてくる疾患なのに、40〜50代で発症する人が増加する可能性もあると推測されています。

 現時点では、個人がそれぞれ次のような予防的対処を心がける以外にはありません。

(1)スマホは少なくとも顔から40cmは離して使う
(2)スマホのバックライトの明るさは半分以下にして使う
(3)パソコンからもブルーライトは出ているが少ないので、パソコンでできる作業はパソコンで行う
(4)ブルーライトカットメガネ、画面の保護フィルムなどを活用する
(5)ホウレン草など緑黄色野菜を十分に食し、抗酸化物質「ルテイン」をしっかり摂取する。ルテインは黄斑に集まりやすく、ブルーライトを吸収する。

 スマホの契約保有件数は2014年時点で5700万件。あなたの目のために、予防策はすぐにも始めるのが賢明なのではないでしょうか。
(文=松井宏夫/医学ジャーナリスト)