ハリルホジッチ監督は、プロジェクターを使って選手一人ひとりの評価について言及した。 写真:徳原隆元

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 6月1日、イラクとの親善試合(同11日/日産スタジアム)、2018年ワールドカップ・アジア2次予選のシンガポール戦(同16日/埼玉スタジアム2002)に臨むメンバー25名が発表された。
 
<選出メンバー>
GK/川島永嗣(スタンダール/ベルギー)、西川周作(浦和)、権田修一(FC東京)、東口順昭(G大阪)
 
DF/酒井宏樹(ハノーファー/ドイツ)、酒井高徳(シュツットガルト/ドイツ)、長友佑都(インテル/イタリア)、太田宏介(FC東京)、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、丹羽大輝(G大阪)、槙野智章(浦和)、森重真人(FC東京)
 
MF/長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)、柴崎岳(鹿島)、山口蛍(C大阪)、谷口彰悟(川崎)、香川真司(ドルトムント/ドイツ)、清武弘嗣(ハノーファー/ドイツ)
 
FW/本田圭佑(ミラン/イタリア)、原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)、宇佐美貴史(G大阪)、武藤嘉紀(FC東京)、岡崎慎司(マインツ/ドイツ)、大迫勇也(ケルン/ドイツ)、川又堅碁(名古屋)
 
【Photo】6.11イラク戦&6.16シンガポール戦に向けたメンバー25人
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の下での初招集は今回、原口元気ひとり(丹羽大輝と谷口彰悟は5月の代表合宿に呼ばれている)と3月シリーズのメンバーから大きな変化はなかった。選出選手の評価にも及んだ会見要旨をポイントごとにまとめ、さらにスタメンを予想してみた。
 
<メンバー発表の会見要旨>
●今回の代表合宿について
「各国リーグの日程が違うので、少し難しい問題があります。5月23日に終えている選手もいれば、長友や本田のように試合を消化して間もない選手もいます。コンディションがバラバラという意味での難しさがあります。6月1日から8日にかけて、選手を合流させます。1グループ、2グループ、3グループとあって、4グループ目が国内組になります。
 今回はかなり個人的なトレーニングをします。そのうえで、イラク、シンガポールとの連戦を激しく戦いたい。我々の目的は2試合に勝つこと。特にワールドカップの予選では野心を見せて戦っていきたいと思います」
 
●これまでの視察について
「J1、J2、J3を含めて116試合、ナビスコカップを28試合、ACLを24試合。ヨーロッパでの3試合も併せると、171試合。これが私とスタッフがライブで見た試合のトータル数です。さらに349試合をビデオで観ました。昨日も2試合見たので、ここに足しておいてください。ライブとビデオを合わせて約520試合。私が言いたいのは、スタッフがみんな一生懸命に仕事をやってくれているということです」
 
●ワールドカップ予選への意気込みについて
「勝つ文化を伝えたい。メンタルの強さ、タクティクスの優秀さなどを確認できるのは、アウェーです。『ヴィクトリー』と言葉にするのは簡単ですが、アウェーで勝つためのトレーニング、コミュニケーションをやっていかないといけない。ワールドカップの予選を戦ううえで、勝ちたいと思う気持ちはかなり重要です。それを最初の試合(6月16日のシンガポール戦)で見せたいです。日本にはワールドカップに行く野心があるぞというところを」
●選出選手について
GK
川島永嗣(スタンダール)
「(クラブで)試合に出てないので難しい部分はありますが、ここから2、3週間かけてトレーニングをしてもらいます。いつも良いコンディションで合流してくれますので、信頼はしています。ただ、試合をこなしてないとトップフォームにはならないので、今回の2試合に向けてどこまで状態を上げられるか様子を見たいです」
 
DF
酒井宏樹(ハノーファー)
「リーグ戦では最後のほうにかなり良い働きをしていました」
 
酒井高徳(シュツットガルト)
「(時間的に)十分にプレーできていないので、どのような状態にあるか様子を見ましょう。フィジカル的なトレーニングは結構しているはずですが」
 
長友佑都(インテル)
「(インテルでは)ここ2試合フル出場しています。経験が豊富で期待しています。今回の代表戦に向けて準備はできていると思います」
 
太田宏介(FC東京)
「かなりクオリティが高いです。オフェンス面で能力を発揮してくれます。そして、ディフェンスのことも少しこれから覚えてもらいます。そうした話は本人ともしています」
 
吉田麻也(サウサンプトン)
「我々に力強さを与えてくれますし、期待しています」
 
丹羽大輝(G大阪)
「すでに経験がある選手です。5月の代表合宿ではいろいろとレクチャーしました。CBもSBもできますし、代表に入る資格があるということを証明してほしいと思います」
 
槙野智章(浦和)
「良いシーズンを送っていて、最近はかなり良いパフォーマンスを見せてくれています。5月の代表合宿では、ディフェンス面の厳しさについてなどたくさん話をしました」
 
森重真人(FC東京)
「数年前から日本代表に入っていてクオリティはありますが、さらにもっと良くなると思います。プレーヤーとしても人間としても期待しています」
 
MF
長谷部誠(フランクフルト)
「ドイツで良いシーズンを送りました。疲労があると思いますので、かなり丁寧にケアをしないといけない。特別扱いするつもりはありませんが、トレーニングのなかでしっかり調整する時間を与えたいと思います。リーダーでもありましから、かなり期待しています」
 
柴崎岳(鹿島)
「能力が高く、守備面でも攻撃面でも可能性を感じる選手です」
 
山口蛍(C大阪)
「J2でプレーしていますが、闘争心がありボールを奪うところで戦ってくれます。膝の状態が少し心配ですが、存在感は発揮してもらいたいです」
 
谷口彰悟(川崎)
「中盤でボールを奪える選手で、パワーもあります。少しパワーが足りない日本代表には、彼のようなプレーヤーが必要です。フィジカル、テクニックの両方があって、(クラブで)ほとんどの試合に出ていますから、代表チームにもなにかをもたらしてくれると思います。ここから我々と一緒に向上し、今回のチャンスをモノにしてもらいたい」
MF
香川真司(ドルトムント)
「ドイツ・カップのファイナルでチームが敗れたとはいえ、彼にとっては良い試合でした。先制点は香川のスルーパスから生まれましたしね。本田と同じく、6月5日には合流する予定です」
 
清武弘嗣(ハノーファー)
「良いシーズンを送りました。最後にチームを救ったという感じですね。ヘディングでも得点しましたし、テクニックのクオリティも高いです。経験も含め、いろんなものを我々にもたらしてくれると思います」
 
FW
本田圭佑(ミラン)
「クラブとして良いシーズンを過ごせませんでしたが、彼のプレーに限ればリーグ終盤戦でチャンスを幾度も作っていました。能力はあり、違いを生み出す選手です。日本代表にもっともっと大きなものをもたらしてほしい」
 
原口元気(ヘルタ・ベルリン)
「サイドで使いたい。クラブではだいぶ試合に出ていて、左も右もできます。タクティクスを理解する能力もあり、いろんなゾーンで働ける選手。私は今回初めて彼に会いますが、ポジションを奪ってほしいと思います」
 
宇佐美貴史(G大阪)
「これまでコンタクトを取って、たくさん話をしました。私のスピーチを受け入れてくれて、良いシーズンを送れているのは嬉しいです。得点王にもなれそうですね。これからも向上していくと思いますし、代表でも良い仕事をしてくれるのではないでしょうか」
 
武藤嘉紀(FC東京)
「宇佐美と同じく能力は高いです。より良い選手になるためにもう少し修正が必要な部分もあります。私の話をしっかり聞いてくれるので、もっと伸びると思います」
 
岡崎慎司(マインツ)
「エネルギッシュによく走ってくれます。とにかく戦える選手で、人間性についても、ポジティブなものを持っています」
 
大迫勇也(ケルン)
「シーズン終盤に活躍しましたね。ディスカッションすれば、かなり向上できると思います」
 
川又堅碁(名古屋)
「他のFWと違ってパワー重視の選手です。そのパワーを活かしてペナルティエリアで勝てる選手にしたいです。国内の試合でもしかしたら起用するかもしれません。向上するための道を私が示したいと思います」
 指揮官の各選手の評価に続いて、ここからは現時点での材料をもとに、イラク戦とシンガポール戦のスタメンを予想していく。
 
 まず、6月11日のイラク戦は、主に欧州組が先発しそうだ。
 
 最大の理由に挙げられるのが、欧州組のコンディションだ。5月31日にドイツ・カップ決勝を戦った香川や、同日にセリエA最終節を終えた本田や長友はコンディションを維持しているはずだが、長谷部や酒井宏、酒井高らドイツ組は23日のリーグ最終節から実戦を離れている。イラク戦は、試合勘を取り戻す良い“予行練習”になるはずで、その意味では左ウイングにいきなり初招集の原口を試したとしても不思議はない。一方、国内組は6月7日にJリーグを戦った後、翌8日に合流。“中2日”でイラク戦にスタメン起用するのは得策ではなく、たとえ先発させたとしても時間は限定されるはずだ。
 
 6人まで交代できるイラクとの親善試合では、欧州組の状態を確認したうえで、丹羽、谷口といった国内組の新戦力のテストや、会見で語った柴崎のボランチ起用といった戦術面の確認をするだろう。
 
 続くシンガポール戦は、ロシア・ワールドカップ2次予選の初戦という真剣勝負。しかもホームゲームと、内容よりも結果が求められている。当然、指揮官が信頼する現状のベストメンバーをぶつけるはずで、これまで結果を残してきた本田や長谷部、吉田といった“経験者”たちが優位な立場にいるのは間違いない。
 
 選手個々に目を移すと、内田がコンディション不良で招集されなかった右SBに、酒井宏が抜擢されそうだ。前体制では守備の甘さもあって早々に見切られたが、最近はクラブでの出場機会を伸ばしており、指揮官も「リーグ戦では最後のほうにかなり良い働きをしていました」と高く評価していた。また、3月シリーズを怪我で辞退した長友の融合も注目ポイントのひとつ。長らく日本代表のサイド攻撃を支えた左SBが、ハリルホジッチ監督が推し進める縦に早いサッカーにどんなプラスアルファをもたらすか見ものだ。
 
 前線で言えば、宇佐美の起用法が焦点だろう。前回の3月シリーズで指揮官から薫陶を受けたアタッカーは、課題としていた守備面に改善が見られるだけでなく、本職の攻撃面でもJ1の12試合で10得点と出色のパフォーマンスを披露している。3月シリーズの2試合はいずれも途中出場だったために90分間をとおした出来は確認できなかったが、今回はフル出場のチャンスがありそう。スタメン定着への足がかりにできるか、G大阪の若きアタッカーのプレーに注目だ。