W杯予選がいよいよスタート…ハリルホジッチの思い描く未来図は如何に

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文=戸塚啓

 6月開幕のロシア・ワールドカップアジア2次予選へ向けて、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は6月1日に日本代表のメンバーを発表する。

 すでにリーグ戦が終了した海外組は、発表当日から自主トレをスタートさせる。国内組は6月7日のJ1リーグ終了後になる。全員が揃っての合宿は、翌8日からだろう。いつもどおりの準備をするのであれば、招集メンバーは23人になるはずだ。GKの3人とフィールドプレーヤー20人の組み合わせである。6月11日のイラクとの親善試合でチームのコンセプトを確認し、5日後の16日にシンガポールを迎え撃つというのが、標準的なスケジュールだ。

 違う時間の使い方を、探ってもいい。

 シンガポール戦の勝利から逆算したプログラムと、より大きなグループでの強化を並行して進めるのだ。国内から28人の選手を集めた過日のトレーニングキャンプの規模でも、シンガポール戦に向けた準備に支障はないと考える。

 たとえば、フィールドプレーヤーだけで30人を集め、イラク戦とシンガポール戦の当日に練習試合を行う。スタッフの負担は大きくなる。だが、シンガポールとの力関係を考えれば、多少の無理は許容できる。

 毎日のミーティングには全員が参加する。イラク戦の成果とシンガポール戦への課題をより多くの選手が共有するのは、ハリルホジッチ監督のチーム作りをスピードアップさせる。23人以上の選手を招集するのが難しければ、イラク戦後のミーティングだけでも数多くの選手を呼び集める、というのはどうだろう。

 たった1日の招集、それも「ミーティングだけに参加してほしい」などと言えば、Jクラブから反発の声が上がるかもしれない。間違いなく上がるだろう。ここで重みを持つのが、5月中旬の短期合宿だ。参加した選手のほとんどが「ハリルホジッチ監督から刺激をもらった」と話しているのは、見落としてはいけない事実である。

 日本はブラジルW杯でグループステージ敗退に終わり、1月のアジアカップでもベスト8で散った。しかも、2018年のロシアへ向けたチーム作りで、ライバルに遅れを取っている。そうしたなかで世界のトップクラスに割り込んでいくには、「いつもどおり」では物足りない。チーム作りを加速させる可能性があることなら、これまでの考えにとらわれずにトライしていくべきである。

 メンバー選考はどうだろうか。

 ここまでの選考で、サプライズは少ない。Jリーグでほとんど実績のなかった皆川佑介(サンフレッチェ広島)や酒井達弥(当時サガン鳥栖、現松本山雅FC)を招集したハビエル・アギーレ前監督に比べると、選手の把握は早い印象がある。チャレンジ色の強い招集を避けているとも言えるが、そこには時間の無さが関係しているはずだ。
 サプライズと呼べる招集があるとすれば、過日のトレーニングキャンプに招集した杉本健勇(川崎フロンターレ)と浅野拓磨(広島)だろうか。交代カードとしての出場が多いなかで、代表候補に選出された。

 それぞれに特徴はある。杉本は高さがあり、それでいてボールタッチが柔らかい。浅野はスピードとパンチ力のあるシュートを兼備する。

 最初のコンセプトとして掲げた「タテへの速さ」と「ボール際の強さ」を満たしつつ、日本人らしさをしっかりと打ち出せるサッカーに、日本代表の未来はある。6月1日に発表されるメンバーから、ハリルホジッチ監督の思い描く未来図が浮き彫りになるはずだ。