セカンドボールの奪取からサイドへ展開し、大儀見のゴールの起点となった澤。攻守両面でその存在はまだまだ大きい。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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「課題はたくさんある」(宮間)
「もっと点を取らなくてはいけなかった」(澤)
「完成度はまだまだ」(阪口)
 
 6月6日にカナダで開幕する女子ワールドカップへ向け、強化試合を行なった「なでしこジャパン」は、1-0でイタリアに勝利。4日前のニュージーランド戦に続き、2連勝で本大会を迎えることになった。しかし、イタリア戦後、選手たちの口から出てきたのは多くの課題や反省の弁だった。

【キリンチャレンジ2015】なでしこジャパン vs イタリア女子代表
 
 劣勢の時間が少なくなかったニュージーランド戦に比べ、イタリア戦はそこまで悲観するような内容ではなかった。特に多くのチャンスを作れた点は小さくない収穫で、1年ぶりに代表復帰を果たしたニュージーランド戦に続き、この日も先発に名を連ねた澤が絡んだ崩しには、大きな可能性を感じさせた。
 
「相手の中盤がダイヤモンドと聞いていたので、横に並ぶよりも(ダブルボランチを組んだ阪口)夢穂と縦関係の方が良いと考えていた」(澤)と、通常よりも前でプレーした澤の動きに合わせる形で周囲の選手も躍動。中盤右の川澄、右SBの近賀、FWの大儀見を合わせた4人の連係は良好で、イタリアの左サイドを幾度も崩しにかかった。
 
 そして52分には、澤のポジショニングの良さ、セカンドボールへの反応の鋭さが得点へとつながる。左SBの宇津木が挙げたクロスは一度、クリアされるが、ペナルティエリアの外で待っていた澤は、セカンドボールを素早く拾い、再び宇津木へ。そのクロスに大儀見が合わせ、ゴールネットを揺らした。澤の度重なる攻撃参加が実を結んだ瞬間だった。
 
 また、澤のボランチ起用により、宮間を中盤の2列目の左に入れることで、攻撃のバリエーションが増えている点もプラスに働いている。キープ力のある宮間がボールを持つことで、左SBの効果的な攻撃参加が促進され、現にニュージーランド戦では鮫島、イタリア戦では宇津木とそれぞれ左SBの突破やクロスからチャンスが生まれた。
 ただ、本大会直前に“澤効果”で手応えを掴めた半面、冒頭の選手の言葉通り、ワールドカップへ不安が尽きないのも現実だ。佐々木監督はイタリア戦を「ミドルレンジなら十分に打てるプレーヤーが揃っているのに、ちょっと人を見て細かいプレーが多すぎた」と分析し、シュートへの意識の低さに警鐘を鳴らした。
 
 また、国内合宿でハードなトレーニングを積んできた影響もあるが、前後半ともに終盤になるとガクッと運動量が落ちる点も不安材料と言える。4年前の前回大会に比べ、チームの平均年齢が上がっており、出場国の増加により今大会は試合数が1試合増えることから、体力面の問題は懸念される。それは36歳の澤を先発起用するリスクとも大きくリンクする。
 
 さらに「相手がイタリアだからこそできた部分はあった。ワールドカップではもっとプレッシャーをかけられると思う」(阪口)と、この2試合は格下のチームとの対戦だったことも留意しなければいけない。
 
 果たして、多くの不安と光明が入り混じったふたつの強化試合をワールドカップ本番にどのように活かすのか。日本の初戦は6月8日19時(日本時間6月9日11時)のスイス戦だ。
 
「ここまで来たらジタバタしてもしょうがない。自分たちを信じるしかない」(宇津木)。
 この言葉通り、連覇という目標へ一直線に突き進むなでしこたちの姿に期待したい。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)