日常生活にわずかな異変、軽度認知障害(MCI)に要注意

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「軽度認知障害(MCI)」は認知症ではないけれど正常でもない状態

超高齢社会となって来た現代、認知症は介護をはじめとしたさまざまな問題をはらんでいます。そんな中、最近では女性週刊誌の表紙に「軽度認知障害(MCI)」という言葉が載るようにもなってきました。

MCIとは「正常ではないけど認知症でもない状態」で「数年後に認知症に移行する可能性がある状態」を指します。情報サイト「認知症ねっと」の記載によると、以下の5つがMCIの定義とされています。

(1)記憶障害の訴えが本人または家族から認められている。
(2)日常生活動作は正常。
(3)全般的認知機能は正常。
(4)年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
(5)認知症ではない。


MCIなのか軽度のアルツハイマー型認知症なのか区別できないことも

前項の5つの定義では分かりにくいかもしれないので、具体的な症状を挙げてみましょう。

「昔から知っている物の名前が出てきにくい(代名詞を使って話すことが増える)」
「最近の出来事を忘れることがある(みんなで経験した共通の出来事を一人だけ忘れていることがある)」
「雑談ができにくくなった(話についていけないことがある)」
「積極性が低下する(習い事に行くのを嫌がる)」
「約束を忘れる(集合の日時を間違えることがある)」
「料理に時間がかかるようになる(物事の段取りが悪くなってくる)」

など、以前とは違ってきているけれども「日常生活を送る上で特別な支障はない」という状態です。頭部MRIなどの画像診断を行なっても、海馬の萎縮などはまだ目立ちません。MCIなのか軽度のアルツハイマー型認知症なのか、区別できないこともあります。「あれ、最近ちょっと変かな?」と家族が感じたときが受診のタイミングかもしれません。


適切な対策を行うことで認知症の発症を防げる可能性も

MCIと診断されたからと言って、認知症になることが確定したということではありません。MCIからアルツハイマー型認知症への進行に関する重大な予測因子としては「女性であること」「支援を拒否する」「転倒しやすい」「1人での買い物が困難になる」「予定を覚えるのが難しい」「10単語リストの思い出しの正答数が少ない」「時計を描くのが困難」などの項目が挙げられています。

しかし、認知機能の低下に対する適切な対策を行うことで、認知症を発症しないままでいられることもあります。食習慣を見直し、野菜・果物、魚(DHA・EPAを含むもの)の摂取を心がけ、週3回程度のウォーキングをはじめとした定期的な運動を行うことが大事です。

また、いろんな人とコミュニケーションをとり、日記を書く、新聞を読む、読書をするなどを心がけて、なるべく頭を使うようにすることも必要です。脳の認知機能を重点的に使うように意識をして、機能の改善や維持を図ることがとても重要です。


【佐藤 浩明:消化器内科専門医】


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