Q:軽度の糖尿病ですが、糖尿病の人はがんになりやすいと聞き心配です。軽度でもがんになりますか。がんにならない対策法と併せて教えてください。(38歳・旅行代理店勤務)

 A:日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会の報告では、糖尿病の人はそうでない人に比べて1.2倍、がんになりやすく、特に大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、膵臓がんは1.85倍も高いという結果です。
 このデータからも、糖尿病の人はがんになりやすいと言えますが、発症のメカニズムは明らかになっていません。「高血糖になると酸化ストレスが亢進して細胞の変異が起こり、がんの発生につながる」とか、「インスリン抵抗性に伴う高インスリン血症が細胞の増殖を促進し、がんの発生に関わっている」などと考えられているようです。
 人間の体は複雑です。健康を維持する因子も、糖尿病になる因子も、がんになる因子も無限にあります。
 しかも、それら因子は個々人で違います。例えば、白血球やリンパ球などの型は4000個あります。しかも、糖尿病が直接、がんの原因ではありません。
 糖尿病もがんも、発症には遺伝子が関係しますが、遺伝子は変えられないのです。また、統計による確率がそのまま個人にあてはまるわけではなく、糖尿病の人が必ずがんになるとは限りません。

●血流をよくすることが鍵
 糖尿病でも、がんにならない人はたくさんいます。だから、ご質問されている方も必要以上に気にする必要はないのです。
 糖尿病は、血管内に糖が過剰にあり、全身の血管を障害する血管病です。血管が障害され、糖尿病網膜症や糖尿病腎症などの合併症を引き起こします。それに対し、血流をよくすると、血糖値は下がり血管障害が予防できます。
 そのための基本は食事、運動、ストレスなど、日常生活の因子にあります。栄養バランスがとれた食事、適度な運動、ストレスをためないこと、さらには十分な睡眠が大事です。
 その上で漢方薬を活用するとよいでしょう。血流をよくする漢方薬を活血薬といいます。古典的な活血薬の代表的なものに「白虎加人参湯」が、現代的な活血薬として「当帰芍薬散」や「四物湯」があります。
 血流をよくすることは、糖尿病の有無にかかわらず、がんの予防に役立ちます。

岡田研吉氏(研医会診療所漢方科医師)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病などに成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。