一冊の本がある。細胞を健康にして老化を遅らせる方法をまとめた『妻の化粧品はなぜ効果がないのか』(角川SSC新書/形成外科医・北川元治著)では、第一章で自身の専門領域である皮膚を例に、「細胞の仕組み」と「細胞を若く保つ方法」を分析。
 以降、続く第二章では、世の中に流布する“健康常識のウソ・ホント”、第三章では、体の中身から若返りを目指す再生医療について、その後の章では「老化予防」について詳細にわたり解説している。
 その中の「肌の健康」について紹介すると、前述と同じく、「皮膚の健康は内臓や血管の若さが一番、形として表れるのが皮膚である」と説いている。

 同書では、さらに必要なこととして「皮膚のメカニズムを知ることであり、医学的な知識を会得することで効果的な肌の手当てができる」と強調している。また、少々意外だが、女性は男性に比べ、肌の手入れに余念がないものの、その割には効果が上がっていないとも指摘。
 「実は世の女性たちは皮膚の構造を理解してケアしている訳ではない。無駄にペタペタ塗りたくるだけで美しくなるなら、世の中美人だらけになってしまう」という。
 同書は他にも健康食品の本当の効果やメタボ解消法なども紹介しているが、肝心なことは「皮膚や血管、臓器の老化を放置すれば、果ては寿命の長短にも影響する」ということだ。

 皮膚の病気は大きく分けて、皮膚だけに起こる狭い意味での皮膚病と、全身疾患を反映した“内臓の鏡”としての皮膚表現(症状)の二つに分けることができる。皮膚の変化が、皮膚だけの変化なのか、内臓からきている病変なのかを判断するためには、やはり高度な知識と経験が必要なため、皮膚科専門医を受診する必要がある。
 また、皮膚だけの変化でも、アレルギーや腫瘍など、その原因を突き止めるには専門性が要求される。皮膚がんであっても痛くもかゆくもないことはよくあることで、素人判断は禁物。
 皮膚は“人体最大の臓器”とまで言われる。その皮膚全体に変化が起こると、発熱やむくみなどの全身症状が出る。また、内臓の病変が皮膚に現れることもしばしば。幸い、皮膚は目に見えるため毎日でも健康チェックが可能だ。入浴後などに鏡を見て、皮膚に変化がないかどうか気配りをすることが大事になる。

 肌は健康状態を表すバロメーター。では、皮膚の健康維持はどう保つか。
 皮膚科の専門医、木之下志津江院長に聞いた。
 「皮膚や粘膜などの上皮細胞の新陳代謝を促すビタミンA、タンパク質などの摂取が大切です。また、脂質の代謝に関わり皮膚や粘膜の健康を維持するビタミンB2、B6の摂取がとても大事。加えて皮膚の主要成分であるコラーゲンの生成のため、ビタミンCの働きを助けるパントテン酸などのビタミン類を摂るように心掛けること。肌の健康維持には必須です」
 さらに注意すべき点は、紫外線だという。肌に直接ダメージを与えるだけでなく、皮膚表面に活性酸素を発生させ、肌の潤いや弾力性を奪ってしまうからだ。

 若さを保つことは、健康寿命が伸びるともいわれる。“見た目の若さ”は決してダテではないのだ。