by Hisako TANAKA

半透明デザインのiMacやアルミニウムと黒を合わせたiPhoneのデザイン、最新のApple Watchまで、アップル製品の数々のデザインに携わってきたAppleのデザイン担当上級副社長であるジョニー・アイブ氏が、ハードウェアやソフトウェアのデザインから離れ、新たな役職につくことが分かりました。

Jony Ive promoted to ‘Chief Design Officer,’ handing off managerial duties July 1st [Tim Cook Memo] | 9to5Mac

http://9to5mac.com/2015/05/25/jony-ive-chief-design-officer/

When Stephen Fry met Jony Ive: the self-confessed fanboi meets Apple's newly promoted chief design officer - Telegraph

http://www.telegraph.co.uk/technology/apple/11628710/When-Stephen-Fry-met-Jony-Ive-the-self-confessed-fanboi-meets-Apples-newly-promoted-chief-design-officer.html

アイブ氏はAppleのデザイン担当上級副社長を長年勤めてきた人物ですが、Appleは5月25日に配信した社内メールで、アイブ氏を新設された「チーフ・デザイン・オフィサー」という役職に昇進させたことを公表しました。アイブ氏はこれまで手綱を握ってきたインダストリアルデザイン部門とソフトウェアデザイン部門から放れることになり、7月1日からは、それぞれの部門に新しいリーダーがつくとのこと。



インダストリアルデザイン部門の副社長に選ばれると見られているのは、iPhoneの開発に初期から携わってきたリチャード・ハワース氏。そしてソフトウェアUI部門の副社長には、iOS 7のデザインに大きく貢献したアラン・ダイ氏が着任すると見られています。

左からアラン・ダイ氏、ジョナサン・アイブ氏、リチャード・ハワース氏。



スティーブ・ジョブズ氏の亡き後、ティム・クックCEOの指揮の下でアイブ氏は引き続きAppleのデザインをハードの面でもソフトの面でも担当してきました。「Apple Watchなど、大きな話題を呼んだ製品を開発し、アイブ氏の元でコントロールが取れていたにも関わらず、なぜ今アイブ氏が担当を変わることになったのか」という質問に関してアイブ氏は「リチャードは初代iPhoneから開発を率いていて最初のプロトタイプから見てきているし、アランはApple WatchのOSに関して大きなアイデアを出しました」と2人に対しての信頼を語り、これからはマネジメントに集中するのではなく、より自由に考えを巡らせていく、と答えています。

もちろんハワース氏とダイ氏はアイブ氏の管轄下に置かれるので、ソフトやハードのデザインに全く関わらないわけではないのですが、それ以上にAppleストアなど小売店や新本社の設計に集中していくとのこと。

これが現在建設中のApple新本社の完成予想図。1万3000人の従業員を収容でき、施設内で使われるエネルギーは100%再生可能。アイブ氏が携わっているのは建物そのものだけではなく、オークのイスやボタン一つで高さが調整できる机など、家具の至る所にアイブ氏のサインが入っています。



そして、これが実際に建設中の新本社。



建設中の新本社を案内するティム・クックCEOとアイブ氏。



Appleは設計事務所のFoster + Partnersと長期にわたって関係を結んでおり、数々のユニークなAppleストアを建築しています。以下はトルコのAppleストア。



2015年1月にオープンしたばかりの中国・杭州市のAppleストア。



Apple新本社もFoster + Partnersが手がけており、ユニークなリング型で、地上2階、地下2階の4階建てになる予定。なお、新本社の完成は2017年と見られています。