“メタル禁止”の青学学園祭で、意地でもメタルをやりたいバンドに捧げる曲
 5月21日に配信された『青学で「ヘヴィ」な炎上騒ぎ 「学園祭からメタル追放」に大反発』(J−CASTニュース)という記事が大きな話題となりました。学園祭の実行委員会がツイッターで、ステージ演奏のバンド募集で「デスメタルやヘヴィメタル等のジャンル以外」と発表したところ、「音楽差別だ」との声が相次ぎツイッターのアカウントは炎上。

 23日には実行委員が公式サイトで謝罪しつつも、“メタルNG”は取り下げていません。その理由は、前年の同祭でメタルバンドが演奏したところ、お年寄りや子供が怖がってしまったため、とのことです(※ただし教室内ではメタル可)

 いまや飛ぶ鳥を落とす勢いのBABYMETALも頑張っていて、あのキャメロン・ディアスだって初めて行ったコンサートはヴァン・ヘイレンなのに、あまりにもかわいそうなヘヴィメタル。

「お年寄りや子供が怖がるからダメ」なのなら、ギャングスタラップだってNGのはず。湘南乃風みたいな人たちだって怖いと言えば怖い。それなのになぜメタルだけ排除されてしまうのか。

◆お年寄り子供も怖がらないアレンジ

 くよくよしていても仕方ありません。どうにか屋外ステージでメタルを演奏する方法を考えましょう。

 まずはアレンジを変えてみる。

「砂に書いたラブレター」のヒットで知られるポップス歌手のパット・ブーンが97年にリリースした『In A Metal Mood』から、メタリカの「Enter Sandman」のカバーをご紹介。まさかのビッグバンドバージョンです。

 原曲の名残りは冒頭10秒弱のギターアルペジオのみ。ここはクリーントーンですから、お年寄りも子供も怖がらないでしょう。ホーンセクションやオルガン奏者はジャズ研から借りてくれば問題ありません。あとは練習あるのみ。

⇒【YouTube】pat boone‐enter sandman http://youtu.be/z67IqrmygZY

 さらに爽やかにキメたいのならば、アズテック・カメラによるヴァン・ヘイレンの「Jump」のカバーをおすすめします。おなじみのシンセサイザーのリフが、ガットギターでカフェの響きに早変わり。オシャレで知的でハートウォーミングな学園祭の場にもぴったり。実行委の皆さんも、きっと満足することでしょう。

⇒【YouTube】Aztec Camera‐Jump http://youtu.be/COtZZmWKcRI

◆もっと凶暴なノイズをブチかます

 とはいえ、アレンジをいじったところで小手先の抵抗に過ぎません。ここはひとつ、正々堂々と問題提起をしてみませんか。

 ウィルコの「Heavy Metal Drummer」は、ソングライターのジェフ・トゥイーディーが若かりし頃の思い出をつづった曲。80年代のメタルバンドをからかおうとライブハウスへ通ったジェフですが、結局は自分も彼らと同類だと気づくのです。音楽を楽しんで、女の子をお持ち帰りするだけじゃないかと。

Wilco‐Heavy Metal Drummer(Live at Farm Aid 2009)http://youtu.be/ERk4jXi0c1Y

 けれども残念なことに、そんなメッセージも伝わらなかった場合。もう最終手段です。実力行使に出るしかありません。ルー・リードの『Metal Machine Music』を全曲完コピしてしまいましょう。問答無用のギターノイズ。実行委が慌ててやってくる。

 “分かりました! 分かりましたからアイアン・メイデンの「Run To The Hills」をやってください!!”

Lou Reed‐Metal Machine Music IV http://youtu.be/6MquoMZ8iQo

Iron Maiden‐Run To The Hills http://youtu.be/geHLdg_VNww

 というわけで、せっかくの楽しい学園祭なのですから、「ちょっと音量に注意してくださいね」ぐらいのお触れでみんなステージで演奏したらいいのにと思ってしまう一件でした。

<TEXT/音楽批評・石黒隆之>