宇宙ステーション向けRaspberry Pi ケース ASTRO Pi FLIGHT CASE発表

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英国のRaspberry Pi ファウンデーションが、宇宙での運用を想定したISS向けのRaspberry Piケース ASTRO PI FLIGHT CASEを発表しました。

素材は航空宇宙産業でよく利用される6063アルミニウム。ケース本体が巨大なヒートシンクになっているのが特徴です。
英国の非営利団体 Raspberry Pi ファウンデーションが開発したRaspberry Pi といえば、名刺サイズの小型で省電力、低価格なシングルボードコンピュータ。もともとは教育向けですが、安価なことからホビー向けをはじめさまざまな用途で使われる人気商品になりました。

今年の2月に発売されたRaspberry Pi 2 Model B では、無印 Raspberry Pi Model B+から約6倍の高速化が行われました。本体に搭載されたSoCのARMアーキテクチャがARMv6 コア からARMv7 コア へ変更されたことにより、DebianやUbuntuのARM版や、IoT向けのWindows 10が動作するようになっています。

ASTRO PI FLIGHT CASE は、英国の欧州宇宙機関(ESA)宇宙飛行士Tim Peakeが、Raspberry Pi をISSへ持ち込むために開発が進められてきてきました。

ISSで利用する機器の要件の中に、機器の表面温度を摂氏45度以下に抑えなくてはいけないという条件があります。
その条件をクリアするために、無重力空間を想定した大規模な熱シミュレーションを行い、ケース全体を巨大なヒートシンクとして機能させ、Raspberry Pi動作時の熱をケースから逃すことを可能にしました。

ケースへの組み込み中の写真では、無印 Raspberry Pi Model B+が利用されています。
無印のModel B+とRaspberry Pi 2は本体の形状が同じなので、使用電力や発熱などを考慮しなければ、Raspberry Pi 2でもASTRO PI FLIGHT CASEを利用できそうです。

今後、RTC(リアルタイムクロック)バッテリーやフライトハードウェアに関する以下の評価試験を経て、宇宙での正式利用を認められることになります。

○RTCバッテリー

開回路電圧および負荷電圧の測定
真空露出試験( 2時間で450mmHg)
真空での漏れや変形を確認する検査
真空での開回路電圧および負荷電圧の測定

○フライトハードウェア

動作確認(正常に起動し、各機能を確認)
電源統合試験(ISS電源ACインバータを使用)
熱試験(最大消費電力で、本体の温度を測定)
真空での熱試験(熱試験と同じ条件)
混合ガスの評価(ISSモジュールの中で使われた素材や組み立てられた部品の混合ガス製品による測定)
EMC(電磁両立性)試験
振動試験(ソユーズロケットと同じ条件)

なお、Raspberry Pi ファウンデーションは、ASTRO PI FLIGHT CASEの3Dモデルデータを配布することを検討しています。3Dプリンタなどで別素材のASTRO PI FLIGHT CASEレプリカの作成が可能になる日が来るかも知れません。