妻を亡くしたファーディナンド「顔を上げると多くの人が側にいた」

写真拡大

 QPR(クイーンズ・パーク・レンジャーズ)に所属する元イングランド代表DFリオ・ファーディナンドが、妻であるレベッカ・エリソンさんを亡くしてから初めて心境を明かした。イギリス紙『サン』が報じている。

 エリソンさんは今月1日、2009年に結婚した夫のファーディナンドと3人の子供を残して、乳がんにより34歳の若さで亡くなった。

 ファーディナンドは、2日にクラブ公式サイトで声明を発表して以来、『サン』紙で初めて心境を綴っている。

「僕の人生で最も困難な時期だった。3人の子供の気持ちを考慮しながら、素晴らしい妻、レベッカが亡くなるのを為す術なく見ていなければならなかった。サッカー選手として、負傷し試合を欠場したら世界の終わりのようだった。だが、妻や子供たちの母親を34歳の若さで癌で失うことを考えれば、それは全く違う」

「レベッカは驚くほど勇敢な女性で、病気と戦っている時もメディアにはその様子を一切見せなかった。最も親しい家族や友人だけが知っていたんだ」

「(病気の発覚後)最もベストな方法は、子供のためにも可能な限り全て今までと同じように過ごすことだと言われた。それはレベッカの望むアドバイスだった。子どもたちの学校は続き、僕もQPRの練習へ行っていた」

「だがレベッカが入院し、今までの普通の生活が送れなくなる時が来た。僕は妻や子どもと一緒にいるために、毎日練習へ行けなくなった。監督にはチームから外すように伝えたよ。チームへの貢献を続けたかったが、何も約束できなかったし、監督に対してフェアではないと思ったんだ。チームを降格に追い込んだという罪悪感があるのは確かだよ」

「レベッカが亡くなった後、とてもいい天気の中でお葬式を開いた。正直に言って、全てが霞んでいて、誰がそこにいたかを覚えていない。だがその後、顔を上げて周りを見渡すと、多くの友人たちが、側に集まってくれていた。レベッカは多くの人の人生に影響を与えていたんだ」

「現在のマンチェスター・Uの選手やOB、サー・アレックス・ファーガソンも彼らの妻を連れて集まってくれた。以前CBでコンビを組んでいたネマニャ・ヴィディッチもイタリアから飛んできてくれた。同じ日にインテルで練習があったからすぐに戻っていったよ」

「イングランド代表やウェストハムのチームメイト、QPRのチームメンバー、クリス・ラムジー監督と彼のスタッフたちもいた。ウェストハムでキャリアを始めた時の最初の監督であり、QPRに呼んでくれたハリー・レドナップ監督も来てくれた」

「レベッカの死を報告した際、応援のメッセージには圧倒されたよ。オールド・トラッフォード(マンチェスター・Uのホーム)やウェストハムで僕らのために歌ってくれたこと、スティーヴン・ジェラードがQPRのチームメイトであるジョーイ・バートンに花束を渡す場面を見れたことは特別だった。子どもたちはそれを見て、『見てパパ、彼らがママのためにしてくれていることをちゃんと見た?』と言ってきた。これらは子どもたちにとって良い記憶になるよ」

「僕とレベッカはいつも、子どもたちが前向きな気持になることを望んでいた。フットボールを通じて団結見せてくれたお陰で、とても助けになったよ。クラブの垣根を越えて、試合での思いやりを見れたことはとても新鮮だった。ネガティブなことでフットボールに対して信念を失うこともある。だが、今回の経験で、どれだけ寛大な人たちがスポーツに関わっているか再認識したよ」

「僕と子どもたちは1日ずつ前に進んでいる。友人やみんなにとって、街で出会った時になんと声をかけていいか困るだろう。おかしなことかもしれないが、握手やスマイルだけで十分なんだ。メッセージをくれた人たち、また少しでも僕らのことを考えてくれた人たちに、僕から伝えることができるのは大きな“ありがとう”だけだ。僕と家族たちはとても感謝しているよ」