夢あふれるがデメリットも?世界初の「空飛ぶ自動車」は安全なのか

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近年、テクノロジーの進化によって、数十年前には夢物語だと思われていたようなものや機構が次々と実現している。そして、近い将来実現しそうな夢の乗り物がこれ、“空飛ぶ自動車だ”。

折り畳み式の主翼を備えた自動車

スロバキアで開発されている『Aeromobil』という乗り物だ。公道走行が可能で、空を飛ぶこともできる乗り物を目指している。“自動車”モードのときには翼は折りたたまれ、最高時速160km/hで走行することができる。

“飛行機”モードのときは、最高200km/hで飛行できる。いずれもレギュラーガソリンを燃料にしてエンジンを動かす。この『Aeromobil』は、すでに飛行テストを行っていて、じっさいに空を飛んでいる。

ただし、つい最近墜落したというニュースもあった。

“空飛ぶ自動車”は安全なのか?

「夢がない」とお叱りを受けるかもしれないが、筆者はこの“空飛ぶ飛行機”には苦言を呈したい。その理由は、危険だから。飛行機が小さいものから大きいものまでスリムな円筒形の胴体を持っているのには理由がある。空気力学的にそのほうが絶対的にいいからだ。飛行機には飛行機に適した形があるのだ。

自動車みたいな形をした飛行機が「不便」とか「遅い」とかいうのであれば、まだいい。しかし、飛行機はバランスを失うと墜落する。適切でない形状は危険に直結するのだ。

もちろん、テクノロジーの進化によって(たとえばコンピューターで姿勢を補正するなどの技術によって)、以前よりはヘンな形の飛行機でも飛べるようになっているかもしれない。それでも、真っ当な形の飛行機に安定性ではるかに劣ることはまちがいない。

自動車モードのときも問題がある。小型飛行機のボディを間近で見たことがあるだろうか? ペラペラである。軽く作らないと飛べないからだ。したがって、空飛ぶ自動車も軽く作られているはずである。だとすれば衝突安全性はあまり考慮することができていないはずで、路上で事故を起こしたときには悲惨なことになるだろう。

さらに突っ込みをいれるとすれば、この『Aeromobil』、前から見たらそれなりに自動車っぽいが、横から見ると、かなり自動車っぽくない。“空飛ぶ自動車(flying car)”というよりは、「公道も走れる折り畳み式の飛行機」と呼んだほうが近いような気がする。

少なくとも、子供が思い描く“空飛ぶ自動車”といったシロモノではない。2014年の時点で2、3年以内には発売するといっているこの『Aeromobil』、将来的に、今よりはるかに姿勢制御技術が進化したとしたらいいかもしれないが、現時点でこのていどのものに命のリスクをかけるのはいかがなものかと思う。

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【参考・画像】

※ Aeromobil

※ AeroMobil 3.0 - official video - YouTube