Q:歯周病がなかなかよくなりません。歯医者さんの話では、精神的なことが影響しているとのことです。うつっぽいし、心の状態はよくありません。こういう面にも対応してくれる歯科医院はないのでしょうか。(35歳・電子部品製造業)

 A:歯科の病気では、顎関節症や口内炎、歯周病などはストレスが関係している場合が少なくありません。口内炎は、ストレスで免疫力が低下している証拠です。
 顎関節症もストレスや精神的なことの影響が大きく、治療をして器質的な異常は解消されたのに痛みなどを訴える人がいます。口腔異常感症も多くはストレスが関係しているし、ドライマウスの一因もストレスです。歯周病もまた、ストレスのために免疫力が低下している患者さんでは、治療をしても歯肉の状態がなかなかよくなりません。
 ストレスもそうですし、全身的な健康状態が口腔内の状態や歯科の口腔疾患の発症に関係しています。ですから、全身的な観点に立ち、口腔内の状態を整えるアプローチが必要です。それは、自律神経を整えたり、免疫力を上げたりすることです。そのためには食事が大事ですが、生活全般の改善を指導する必要がありますが、その面では西洋医学は限界があります。

●漢方薬が役に立つ
 そこで役に立つのが漢方薬です。歯科では平成24年から、漢方薬7処方が保険適応となっています。排膿散及湯、半夏瀉心湯、黄連湯、茵 蒿湯、白虎加人参湯、五苓散、立効散です。これらのうち、口腔異常乾燥感症には半夏瀉心湯が、ドライマウスには白虎加人参湯や五苓散が効果的です。口内炎に半夏瀉心湯、黄連湯が、歯周病には排膿散及湯が有効です。
 このほか、健康保険適応外の漢方薬にも、精神状態を整える作用があるものや、 血を改善する効果があるものがいろいろとあります。
 血は漢方の用語で、鬱血や血行障害など血の流れの滞りや、それによって起きる様々な症状や疾病を指します。
 歯周病も 血です。 血の漢方薬には、歯科では健康保険適応外ですが、十全大補湯や加味逍遙散、温清飲などがあります。
 精神面を含め、「木を見て森を見ず」ではなく、全身的に診てくれる歯科医は少ないのですが、漢方薬を治療に用いる歯科医は増えてきました。ご質問の方も、そういう医師の治療を受けるとよいでしょう。

渡辺秀司氏(とつかグリーン歯科医院院長、漢方歯科医学研究所所長)
 神奈川歯科大学卒。同大学研修医を経て、横浜市でとつかグリーン歯科医院を開設。歯学博士。歯科領域に漢方を取り入れ、天然素材を配合したうがい薬や歯磨き剤を開発。独自な歯周病治療で名高い。