しかし、この早過ぎる復帰には周囲から疑問の声も上がっている。
 自身も左膝の靭帯を痛めたことがあるベテランの若の里も「周りの筋肉を鍛えるといっても限界があるし、膝の関節がグラつくことで他の部分も痛めやすい。引退間近の力士ならともかく、まだ20代前半なんだから、思い切って手術して根本からしっかり治した方が絶対にいい」と話している。

 過去に膝の故障が原因で大成できず、引退に追い込まれた有望力士は、それこそ枚挙にいとまがない。遠藤もその危険性が十分にあるのだ。果たして、この強行出場が吉と出るのか、それとも凶なのか。もし凶と出れば、せっかく盛り上がっている大相撲人気に頭から冷水を浴びせることにもなりかねない。
 そうでなくとも、白鵬、照ノ富士、逸ノ城ら、話題になるのは相変わらずモンゴル人力士ばかり。これでは相撲協会も、ブーム再来と喜んでばかりはいられないだろう。

 史上初の2度目の7連覇に挑む横綱・白鵬も、いまひとつスッキリしない。
 初場所、ご法度ともいえる審判部批判をして逆に自分が批判されると、一転して報道陣に背中を向け、千秋楽まで無言で通したのはまだ記憶に新しい。以来、報道陣との関係が修復されたとはとても言えない。
 「むしろ陰にこもってますます不穏になったといえるでしょう。何しろ白鵬は、例の審判部批判問題に加えて新たに愛人問題を抱えていますから。これまで大相撲界きっての愛妻家で通っていたのに、都内の渋谷のマンションに同じモンゴル出身の若い女性を囲っていた、という報道は衝撃的でした。現役の横綱にこんなスキャンダルが持ち上がるのは非常に珍しいことですよ。白鵬からは、このことについて何の反応もなく、また報道陣もあまりにも生々しくて切り込めずにいますが、もしも変な形で優勝が途切れたり、もう一度トラブルでも起こしたら一斉に叩きに出るでしょう。朝青龍のような土俵の去り方だけは見たくはありませんが…」(担当記者)

 白鵬は、きらびやかな実績とは裏腹に評価は急降下する一方で、もはやこれまでのような優等生ではない。そうかと言って他の2人の横綱である2場所連続休場の鶴竜や8場所も優勝から遠ざかっている日馬富士では代役は務まらないし、話題の若手、照ノ富士や逸ノ城らも、スージョのハートを遠藤並みに熱くはできないだろう。
 日本人力士の優勝は平成18年初場所の栃東を最後に途切れたまま、もう9年も現れていない。八百長、新弟子暴行死事件、野球賭博問題などを乗り越え、ようやく回復した大相撲人気も、その実態は実に危ういものなのだ。

 この夏場所で、関取の象徴である大銀杏を初めて結うことができた遠藤には、ますます協会からの重圧がのしかかりそう。一日でも長く、その勇姿を見ていたいのだが…。