5月特集 いま見るなら、女子ゴルフ(4)
■森田理香子インタビュー(後編)

練習をすれば成績がついてくると
それを心の支えにやっている

 森田理香子(25歳)は、自身の性格を「ゴルフに向いていない」と断言する。「もっと性格が自己中だったら」とも言う。ただ、その性格がゴルフ向きか不向きかは、もはや関係ない次元に彼女はいる。なぜなら、ひとつだけ確かなことがあるからだ。

「ゴルフが好き」

 トッププロの知られざる、内面とプライベートを聞いた。

―― プロ8年目の25歳。森田選手は、若手でしょうか? 中堅でしょうか?

森田:明らかに若手じゃないですね(笑)。中堅です。だって、18歳の子もいるし。私が18歳のとき、25歳の人にはこう思われていたんだなって。

―― どう思われていたと思うんですか?

森田:「若いっていいな」って。私もまだ若いんですけどね(笑)。

―― どんな部分がうらやましいですか?

森田:元気があるし、怖いものを知らない感じ。私も、アマチュアのときやプロになり立ての頃は、プレイに関しては何も怖いものがなくて。もうイケイケでやっていました。シーズンを重ねていくうちに、ゴルフの怖さや深さを知って、知り過ぎて、ガツガツいかなくなった部分があるというか。強気一辺倒じゃなくて、ちょっと警戒しながらっていう部分は、10代の頃に比べたら増えましたね。

―― 強気になり切れない部分があるのでしょうか。

森田:そうですね。もっと自信を持ってやればいいんですけど、自分の性格上、ガツガツ行けない部分があるんで。変えていかなければいけないところなんですけどね。優勝回数が伸びないのは、勝負どころ、"ここぞ"というときにガッといけないところかなって思っています。

―― 技術面は年々上がっていても、それだけでは勝てないということですか?

森田:そうですね。ゴルフって、難しいですよね。明らかに技術はトップレベルの選手、例えば、永久シードの不動(裕理)さんでも、毎回優勝争いができるわけではないですから。ゴルフって、技術だけじゃなくて、気持ちや、運もあるし......。パーフェクトな技術を披露しても、絶対に勝てる、ということはない。どんなスイングをしようが、ミスショットをしようが、(少ない打数で)カップにボールが入ってしまえば勝ちなので。そういう意味では、(技術面やスイングにおいて)完璧を求め過ぎてもよくないと思うんですけど、私はちょっと完璧主義なところがあるんで(笑)。

 ただ、みんな勝ちたいし、(自分も)勝ちたいからよりいいものを求めてやっているわけで。どうしたら運が向くかなんてわからないので、できることは、やっぱり練習することだけで。練習すれば成績もついてくるって信じ抜くというか、それを心の支えにするというか。

―― 流した汗はウソをつかない、と。

森田:はい。師匠の岡本(綾子)さんも、ずっと努力してこられたし。やっぱり、ラクして勝てるってことは絶対にないんで。努力して、練習していくことが、自信や強い気持ちにもつながると信じています。

―― ファンの期待は、時に重く感じることはありますか?

森田:応援していただいているのに、それに応えられていない自分が悩ましいというか、申し訳ないですね。成績が思わしくないのに、私についてコースを回ってくださる方も多くいますから。でもそれは、(自分にとっては)すごくうれしいことで、私以上に我慢強く応援してくださるファンの方の声援に、早く応えたいです。

―― 賞金女王を経験し、優勝争いに絡まないと、メディアも「調子、悪いんですか?」というスタンスになりがちですよね。

森田:そうですね。でも、それもうれしいです。優勝争いをして当たり前だと見られているってことですから。

夢の中でもスイングをしたり
ゴルフのことをずっと考えている

 人は見かけによらぬもの。テレビ画面の中の彼女は、いつも凛としている。ただ、その内面は実は正反対だった。

 そんな自身の性格に悩みもする。時に涙をこぼすことさえある。それでも彼女には、戦い続ける理由がある。

―― 今の若手選手を見て、どんな印象を持っていますか?

森田:堂々としているなって。だって私、もっとオドオドしていましたもん。今もオドオドしているけど(笑)。やっぱり先輩とかが厳しかったので、(ゴルフ場の)ロッカーに入るのも緊張して。でも、今の若い選手たちは、別に「ふ〜ん」って感じですもんね。誰の存在も気にしないというか......。私は気にしいなんで、どうしても(他人の視線とか)いろいろと気にしちゃったから。

―― 意外ですね。森田選手は常にクールな印象がありますから。優勝争いをしていても、すました感があります。

森田:よく言われます。「落ち着いているよね」って。でもそれは、自分を作っているんです、無理やり。オドオドしちゃダメだって(笑)。かなりのビビリなんです。

―― そういう性格は、ゴルフに向いているのでしょうか。

森田:向いてないと思います。やっぱり自己中の人が一番(ゴルフに)向いていると思います。私も、もっと自己中だったらなって思うんですけどね。ゴルフ以外のときも自己中だったらイヤですけど(笑)。

―― ところで、オンとオフの切り替えはうまくできていますか。

森田:苦手ですね。オフでも、常にゴルフのことを考えちゃっています。今の自分のポジション、抱えている技術的な問題など、常にゴルフのことを考えて、頭を回転させている状態というか。ボーッとしているときは、基本的にないですね。部屋に帰っても、ずっとゴルフのことを考えているし。寝るときくらいじゃないですか、ゴルフのこと考えないのは。あッ、でも夢の中でも見ますね、(自分が)スイングしている姿を(笑)。(遠征先の)ホテルの部屋とかで、ひとりで喋ったりもするんですよね。「なんで、ああだったんだろうなあ」とか。独り言が多くて、もし誰かに見られていたら、変な人に思われると思います(笑)。

―― リラックスできる瞬間はありますか?

森田:日曜日の夜ですね。試合が終わってから月曜日になるまでの時間。「よし、試合が終わった。好きなものを食べよう!」って。お肉、特に鶏が好きなんです。

―― 月曜日はオフではないんですか?

森田:クラブは握らないんですけど、トレーニングはします。プロになったばかりの頃は、月曜日も練習していましたけど。クラブを持たない日を作るのも大事だなって。私、段取り魔なんで、「明日はあれをして、これをして」って、スケジュールを事前に埋めておきたいタイプなんです。練習も以前は、その場、その場で決めていたんですけど、今は事前にきっちり決めていますね。ただ、ゴルフのことを考え過ぎても思い詰めちゃうんで、リラックスできる時間も作りたいなと思って、趣味を探している最中なんです。

―― 見つかりそうですか?

森田:はい。今、ひとつ、いいなと思うのがあるんですけど、まだ言いません。それが趣味だと言えるようなレベルになったら言います(笑)。

―― では最後に、実は泣き虫だとうかがったんですが、本当ですか?

森田:本当です。気が小っちゃいんで。毎日のように泣いています。思いどおりにプレイできなくて、「上手くいかない!」ってメソメソしたりして(笑)。

―― それでも、ゴルフが楽しいと思う瞬間はありますか?

森田:岡本さんにも、「もっと(ゴルフを)楽しいって思え」って、アドバイスしていただいているんですけどね。でもどうだろう。今は考えて、悩む部分も多いから、単純に「楽しい!」とは言い切れないかもしれないですね......。成績がよければ、楽しいでしょうけど(笑)。私、こうやって考え過ぎちゃうのも、性格がゴルフ向きじゃないなって思うんです。

 だけどもう、今は(ゴルフを)やめようとは一切思わないんです。それはきっと、ゴルフが好きだからだって思うんです。悩むし、迷うけど、それでも、ゴルフが好きです。だから、焦らず練習を続けて、応援してくださるファンの方の期待に、一日も早く応えられるようになりたいと思っています。

【プロフィール】
森田理香子(もりた・りかこ)
1990年1月8日生まれ。京都府出身。2008年にプロテスト合格。2009年、ツアー本格参戦1年目で賞金ランキング27位となってシード権を獲得。 以来、ツアーの中心選手として活躍し、2013年には賞金女王に輝く。ツアー通算7勝。身長164cm。血液型AB

水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro