『情報の「捨て方」 知的生産、私の方法 (角川新書)』成毛 眞 KADOKAWA/角川書店

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 日々、私たちはパソコンやスマホに触れ、それらが発信する多くの情報、あまりに多過ぎて処理し切れないほどの情報に浸った生活を送っています。

 それらのなかには、自分にとって本当に必要な情報でないものも......取捨選択をしながらうまく付き合っていかなければ、情報を得るつもりが、時間だけを失ってしまっていたという状況にもなりかねません。

 かつて日本マイクロソフト株式会社代表取締役社長をつとめ、現在は早稲田大学ビジネススクールで客員教授としても活躍中の、成毛眞さんは「自分の時間を奪うだけの情報は徹底的に捨て、遠ざけ、触れない」ように心がけているといいます。

 そんな成毛さんの新著『情報の「捨て方」』では、情報過多な世の中において、時間のムダとなってしまわない有意義な情報の集め方、選び方、活用のしかたを指南してくれます。

 情報を入手するというと、本や雑誌、新聞、テレビやネットといった方法を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、これらはあくまで情報入手の一手段。たとえば街を歩いているときにも十分に情報を得ているのだと、成毛さんは指摘します。

「街は情報に溢れています。どこにどんな店がある、どんな物を売っている。新しく店ができた。どんな物を売りそうだ。看板が新しくなった。今度はこんな映画をやるらしい。自動販売機のラインナップが変わった。桜の蕾が色づいてきた。行き来する人に半袖姿を増えた。こういったことはすべて、情報です」(同書より)

 そして街を歩くとき重要なのは、ただ何気なしに漫然と歩くのではなく、観察する目を意識的に持って歩くという点。

 たとえば、ビジネス街を歩くときには新聞記者や刑事の気持ちで、あるいは住宅街を歩くときには不動産業者の気持ちで歩き、「街並み、歴史、住んでいる人たち、地盤の良し悪しなどに思いを馳せ、この場所にマンションを建てたら、どんな折り込みチラシを作って宣伝するかを想像」(同書より)してみることを成毛さんはすすめます。

 こうした視点を持ちながら歩くことにより、同じ風景を見るにしても、得られる情報は変わってくるのだといいます。さらに、同じ道やいつもの街を歩くにしても、観察する目を持たずに歩いてばかりいると、知らず知らずのうちにアンテナが鈍り、物事におけるささやかな変化を見逃すことにも繋がってしまうのだと危惧します。

 情報を浴び続けるあまり、何が重要なのかわからなくなってしまった方、SNSに疲労してしまっている方、情報との向き合い方を、本書を通じて見つめ直してみませんか?