スージョ(相撲女子)なる新たなファンも出現し、相撲の街、東京・両国が沸き立っている。今年に入ってずっと続いている大入り満員は、5月10日から始まっている夏場所も継続するのは確実な状況だ。
 幕内の取組を盛り上げる懸賞も天井知らず。これまでの1場所の最多懸賞数は今年初場所の1625本だが、この夏場所はこれを軽く更新して1800本台に達する勢い。その恩恵を最も受けそうなのが大関・稀勢の里で、ジャポニカ学習帳のショウワノートや、集英社の漫画雑誌グランドジャンプの『喝風太郎!!』、ユンケルの佐藤製薬などが新たにスポンサーに名乗りを挙げ、かかる懸賞数は先場所から倍増する。

 まさに相撲協会も力士も笑いが止まらないといった感じだが、そんな中で悲壮感漂うのが、この大相撲人気を演出し支えてきた遠藤である。
 遠藤が左膝の半月板と前十字靭帯を損傷する重傷を負ったのは、先場所5日目の松鳳山戦だった。ただちに大阪・堺市内の病院に担ぎ込まれ、全治2カ月と診断されてそのまま入院。千秋楽を待って埼玉県草加市内の追手風部屋に松葉づえをついて戻った。

 当初は都内の病院に再入院して手術する予定だったが、思ったよりも痛みがなく腫れも少なかったため手術を回避し、4月初めにはまわしを締めて土俵に降り、トレーニングを開始した。
 その後も稽古を続け、直前の5月5日に「思ったよりも動けている。これからもドンドン良くなることを想定し、いいふうに、いいふうに考えて出場することを決めました」と強行出場することを表明した。

 表向きには誠に順調な回復ぶりでめでたい限りだが、内実は決してそうではない。この膝の治療には手術して根底から直す方法と、膝の周りの筋肉をトレーニングで強化する方法の2つがあり、遠藤が選択したのは後者の筋肉強化法。これは完全に治すまでには時間がかかり、また痛めた靭帯は手付かずのため、なかなか完治は難しい。どうして遠藤はこのやっかいな手術回避策を選んだのか。
 「ひと言で言えば、時間を惜しんだんですよ。手術すれば長期休場は避けられない。最近も栃ノ心が4場所連続休場して、幕内から西幕下55枚目まで急降下しています。今場所、ライバルの照ノ富士が優勝か、14勝以上すれば大関の声が掛かるでしょうし、逸ノ城も小結に昇進し、後に続けと燃えている。遠藤はベッドの上で彼らの活躍を見るのは忍びなかったんじゃないですか。もう一つ下衆の勘繰りをすれば、幕内にいれば人気者ですから毎日10本以上、お金にして40万円もの懸賞がかかります。そんな優雅な幕内の生活を捨て切れなかったこともあるでしょう」(大相撲関係者)