浅田真央(24)が18日、約1年間の休養を経て、現役続行の意志を正式に明らかにした。昨年5月から休養していた浅田は、自身の進退を同日付のブログと、この日行なわれた座長を務めるアイスショー「THE ICE」の記者会見で発表した。

 大勢の報道陣が集まった会見では、「1年間休養してきたんですけど、自然と試合が恋しくなり、試合でいい演技をした時の達成感をまた感じたいなと思い始めたのも一つの理由です。それだけではないので、何とも言えないですが、いまは試合に出場するために練習しています」と語った。

 休養宣言をしてからおよそ1年が経った。この間、浅田はスケート以外の様々な活動に取り組んできた。テレビのリポーターやラジオのパーソナリティーを務め、ドキュメンタリー番組にも出演するなど、フィギュアスケート界とはまったく異なる世界の人々と出会ってきたに違いない。そんな中で、あらためて自分にとってスケートは欠かせないものだということを実感したという。

「スケートをしない生活の中で、スケートを滑った時に自分にとってスケートは欠かせないと思うようになって、練習を重ねていくうちに試合に出たいなと思い始めてきました」

 小学6年生で初出場した全日本選手権の衝撃以来、彼女にはいくつものキーワードがついて回った。「天才少女」「天真爛漫」「3連続3回転ジャンプを跳んだ女の子」「現役唯一のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳ぶ選手」「努力家」「練習の虫」「負けず嫌い」などだ。

 女子選手として初めてトリプルアクセルを跳んだ伊藤みどりを育てた山田満知子コーチに指導を受けてデビューした浅田を、メディアは「天才少女の出現!」と大々的に取り上げた。3回転+3回転+3回転の連続ジャンプやトリプルアクセルを跳んでみせた12歳の少女は、屈託ない天真爛漫な言動で旋風を巻き起こした。飛距離と高さがある豪快なジャンプを跳んだ伊藤とは違い、浅田は軸の細い回転速度が速いジャンプで、くるくると軽快に跳ぶタイプだ。何より、スケートが大好きで楽しそうに滑る姿が印象に残った。

 浅田の武器と言えばジャンプ。特に、小さい頃から取り組んできた大技トリプルアクセルだ。伊藤が現役時代の20年以上前から現在に至るまで、女子選手にとってトリプルアクセルは最大の技となっている。ジュニアからシニアに上がった当時、現役で跳ぶことができたのは彼女ただ一人。それにより浅田の存在価値は極限まで高まったと言っても過言ではないだろう。

 もちろんその魅力はジャンプだけではない。カナダ人振付師ローリー・ニコル氏らに支えられ、弱点だった表現力とリズム感をカバーし、長所だったはつらつさやキュートさを強調するプログラムによって、魅せる演技ができるまでになった。その集大成ともいえるのがソチ五輪のフリー演技で、記録としてはメダルには届かなくても、強烈な記憶を残したのは間違いない。

 国民的アイドルとして一スケーターを超越した存在にまでなった浅田が、1年間の休養後に出した答えは、現役選手として試合に出場することだった。ただし、まだ試合に出られるレベルではないという。休養前まで指導を受けていた佐藤信夫コーチに相談をしたのが3月。5月に入って試合に復帰するための練習を始めたばかりだ。

 来季のルール変更でジャンプの厳格化がさらに増してくる可能性もある中、現役続行は彼女にとって過酷な道のりになるだろう。それでもスケートの基本を徹底的に指導し続けた佐藤コーチは「彼女のスケートはまだ道半ば」と、まだそこに伸びしろがあることを確信していた。

「ハーフハーフ」だった彼女自身の気持ちは、1年後、「今こうして決断して、試合に向けてやっている気持ちは100パーセント復帰するつもりで練習しています。できるんじゃないかな、できないんじゃないかと思うときもあったけど、今は100パーセント、試合に出るつもりでいます」と固まった。その言葉の数々からは、待ち受けている現実を引き受ける覚悟と、フィギュアスケートへの愛着がうかがえた。

「最終的には自分がやりたいという気持ちが出てきたから、こうしていま試合に向けて練習を再開しました。自分の目標を達成するには強い気持ちがなければ達成できないと思うので責任を持ってやっていきたいです。この先何があるか分からないですけど、今は目標に向かって突き進んでいます。復帰戦はまだ分からないです」

「2018年の平昌五輪については、何が今後起こるか分からないので、うまくいけば試合に出られるかもしれないですし、出られないこともあり得ると思うので、今の時点ではオリンピックは考えていないです。今は最低でも昨年の世界選手権までのレベルに自分を持っていく目標に向かって練習をやっています」

「私は今までトリプルアクセルが跳べるということでそれを強みにしてきましたけど、もちろん今の時代、ジャンプのレベルが上がっていますので、私もそれに追いつけるように練習をしています。ただ、それだけではなく、やはり24歳でスケート界の中ではベテランの域に入ってきているので、ジャンプの技術も大切で落とさないことが目標ですけど、それだけではなくて、大人の滑りができればいいな、と。自分の滑りを見てもらいたいと思います」

 フィギュアスケートと切っても切れない関係をつなげてきた浅田真央が、果たしてどんな姿で復帰戦のリンクに立つのか。その日を楽しみに待ちたいと思う。

辛仁夏●文 text by Synn Yinha