マイナンバーって何?」という人がほとんどだろう。もうすぐ、すべての国民が12ケタの番号で一元管理される時代がやって来る。国はその利点を強調するけど…本当に心配はいらない!?

今年10月、国民ひとりひとりに12ケタの個人番号を通知する紙製の「通知カード」が簡易書留で届く。

さらに希望者には、住所、氏名、性別、生年月日と顔写真、そして12ケタの個人番号が記載され、本人確認のための身分証明書として使えるICチップ内蔵の「個人番号カード」が発行される。

いわゆる“国民背番号制”こと「マイナンバー(社会保障・税番号)」制度が、いよいよ来年1月から始まる。

おそらく大半の人が「マイナンバーって何?」という状態だろうが、マイナンバー法(正しくは「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」)が成立したのは2013年5月24日。もう2年も前のことだ。

マイナンバーを管轄する内閣官房のホームページによれば、その導入目的は複数機関に存在する個人情報を共通の番号で一元管理することで「公平・公正な社会の実現」「国民の利便性の向上」「行政の効率化」を達成するとある。

具体的には、次のような場面で使われる。

「社会保障や税などの事務・手続きの効率化、負担の軽減」

婚姻届、離婚届、パスポート申請のほか、年金の請求申請や遺産相続といった行政窓口での面倒くさい手続きが簡単になる。また、年金や生活保護費などの給付の誤りや給付漏れ、不正受給なども防止できる。

「災害時における活用」

災害時の要援護者リストの作成や本人確認などに活用。また、生活再建の支援も効果的に行なえる。

さらに注目すべきは、マイナンバーの制度開始前にもかかわらず早くも改正法案が国会に提出され、利用分野の拡大が検討されているということだ。

そのひとつが「金融」分野。2018年から個人の預貯金口座にマイナンバーを適用可能にする。より正確に個人資産を把握して納税の適正化などを図るためだ。現状は情報提供をする法的義務はないが、国は21年以降の義務化も検討している。

もうひとつは「医療」分野で、メタボ健診や予防接種履歴などを適用。これにより過去の健診データを踏まえた保健指導などが可能になる。将来的には個人番号カードと健康保険証の一体化を目指すという。

こうして見ると、確かにメリットの多そうなマイナンバーだが、課題を指摘する声も根強い。

今年3月に出版された『共通番号の危険な使われ方』の編著者のひとり、市民団体「反住基ネット連絡会」の白石孝氏はこう話す。

「最大の懸念は、不正アクセスや内部犯行による個人情報流出と“なりすまし”による金銭被害。例えば、国民背番号の“先輩”である韓国とアメリカの状況はめちゃくちゃです」

1962年から「住民登録番号」という国民背番号制度を導入している韓国では、07年から15年1月までの間で2億数千万件もの不正アクセスと内部からの個人情報流出が発生している。

「韓国ではクレジットカードのカード番号も住民登録番号で一元管理されているのですが、昨年1月、クレジットカード会社3社や銀行口座関連の個人情報約1億400万件が流出し、預金の無事を確認しようと顧客が銀行に殺到する騒ぎとなりました。流出した個人情報の中には朴槿恵(パク・クネ)大統領と推定されるものも含まれていたんです」(白石氏)

また、アメリカでは、なんと36年から「社会保障番号」が導入されているが、パソコンの普及した90年代後半以降になって、なりすまし犯罪が激増した。その数は06年から08年の3年間だけで約1170万件、被害額は約1兆7300億円にも上るといわれる。

「昨年、日本でもベネッセの関連社員がお金欲しさに推定2895万件の個人情報を流出させて大問題になりましたが、今後はマイナンバーを悪用した不正や犯罪が起こるでしょう」(白石氏)

新しいことが始まる時には便利になる分、こうした悪用の心配もつきものだ。もはや施行は避けられない以上、せめて運用にはしっかりした管理をお願いしたい。

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(取材・文・撮影/樫田秀樹)

■週刊プレイボーイ22号(5月17日発売)「粛々と準備が進む“国民背番号制”マイナンバーの落とし穴!!」より