専門誌では読めない雑学コラム
【木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第4回】

 ゴルフにつきものなのが、練習です。やはり1回のラウンドにつき、2、3回は練習場に行かないと。

 現実は厳しいのですが、「下手を下手で固める」という言葉があるように、なんぼ下手でもたくさん練習すれば、ゴルフは上達します。つまり、スライスしか打てない人は、そのスライスボールを安定して打っていればいいのです。結局、ボールが右に出るか、左に出るかわからない――そういう人が、スコアを目いっぱい叩いてしまうわけです。

 ともあれ、練習環境が充実している、地方や郊外に住んでいる人はいいけれども、東京近郊や都心に住んでいる人は大変です。練習に関する環境が最悪だからです。

 まず、広いドライビングレンジがない。しかも、ボール代が結構高くつきます。私がたまに行く目黒区の練習場は、土曜、日曜日の1階のボール代が、ナイターで1個、38円もします。昼間は、練習レンジのボックス貸しになっていて、1打席1時間4600円!? 

 あり得なくないですか? タイのゴルフ場近辺で売っているロストボール(6個で300円くらい)より高いかも。まあ、その代わりに、有名芸能人がたくさんやって来ますから、目の保養にはなりますけどね。

 ほんと、芸能人はゴルフが大好きですね。ちなみに、なんでゴルフと芸能人が密接な関係にあるのか、知っていますか? それは、テレビ局がゴルフ練習場を運営していたからです。

 TBSは、かつて赤坂の局の裏側が練習場でした。今でも、ドラマの収録などで使われる、神奈川県の緑山スタジオの近くに、TBSが持つ練習場があります。

 日本テレビは、新宿北に練習場を持っていました。テレビ朝日の関係者は、今や東京プリンスホテルのパークタワーになってしまった、芝ゴルフ練習場を利用していましたかね。

 おかげで、芸能人は売れた証にゴルフを始めて、局にいる待ち時間の間に、ちょこっと練習することもできました。実に、おおらかな時代でした。

 話を戻しましょう。これら、TBSの赤坂、日本テレビの新宿、芝と、今ではすべてなくなってしまったように、他にもあった都内の練習場はことごとくなくなっています。土地の有効利用とかで、マンションなどに化けていることが多く、都心で練習場を探すのは、本当にひと苦労です。

 やっと見つけても、高いし、狭い......。「広くて、のびのびした環境で、ドライバーを200ヤードくらいかっ飛ばしてみたい!」――みんな、そう思っているはずです。が、実は狭いところでの練習にも、効果的なことがあるんです。

 あまりに狭いと「打った気がしない」という意見もありますが、何が効果的なのか、説明しましょう。

 まず、初心者が陥りやすいものと言えば、ヘッドアップ。打ったら、すぐにボールの行方を見てしまう癖ですね。実際それは、打つ前ぐらいに顔を上げてしまっているので、変な球、あるいは空振りなんていうのが出るんです。狭い練習場では、それを直す効果があります。

 ビルの一室や、マンションの屋上なんかにあるネットの練習場、俗に言う「鳥かご練習場」ですね。あそこでは、ヘッドアップしません。だって、顔を上げても、遠くに飛ぶボールは見えないんですから。ボールは目の前のネットに当たるだけですから、顔を上げる必要性がないんです。

 加えて、初心者が陥りやすい、力みやマン振り矯正にも、効果があります。鳥かご練習場で打つには、マン振りはまったく必要がありませんからね。フォームを固めるには、そこで練習するほうがいいくらいです。

 ゴルフは、己の欲との戦いです。「飛ばしたい」という欲求を、どう制御して、正しい方向性への導くのか。

「飛ばそうと力めば、ますます(ボールは)飛ばない」

 この矛盾を解決するのに、10年くらいかかりましたか......。今じゃ、私もすっかり「飛ばさない屋」です。このほうがすごくスコアがまとまりますって、気づくのが遅すぎましたね。

 とまあ、「鳥かご練習場」における効果を挙げましたが、確かにそこで練習していても、そんなに面白くないのは事実です。やはり、ゴルフの練習は楽しくなければ長続きしません。

 ですから、現実的には、折衷案として、50〜60ヤードくらいの距離のある練習場、そういうところで頻繁に練習しています。それぐらいだと、料金もほどほどで、球筋もわかる。開放感もあって、俄然やる気がします。

 練習は、自分の生活環境の中に、いかに身近に取り込めるかが大切です。仕事帰り、ふらりと寄れるところに鳥かご練習場があれば、まずはそれでよしとする。あとは、月に1回は休みを利用して、大きな練習場に行くとかね。TPOに合わせて練習してみてください。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa