知らないところで、ジップロックは日々進化している

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ジップロックの便利さの裏側には、技術者たちの何十年にもわたる不断の努力がある。小さな不満も見逃さない彼らの職人魂を知れば、この袋を見る目も変わるはずだ。

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再封止用バッグのビジネス規模は16億ドル。そのいちばんの敵は空気だ。空気に触れれば、中身はカビて、腐ってしまう。だからこそジップロック社は、どうすればバッグの封止を確保できるか(そして再び開くことができるか)を解明するために、莫大な費用と時間を投じてきた。

同社の最新技術は、その名もまさしく「イージーオープンタブ」(簡単開封タブ)という。新たに付け加わったのはほんの小さなタブなのだが、それは1950年にビョルゲ・マードセンが再封止用バッグを発明して以来の、あらゆる技術を踏襲するものである。

いまでは、再封止用バッグはありきたりの技術になった。しかし、その背後には膨大な研究開発の歴史がある。1982年の発売当初は幅広の補強材が用いられ、次いで1993年にクリック型のジッパーが世に出た。それから4年後、ジップロック社は色付きジッパーを発売。これは見た目が美しいばかりか、バッグがきちんと封止されているかどうかを一目で確認できるものだ。そして2006年の2重ジッパーの発売によって気密性はさらに向上し、また正しく閉じられたことが音でも確認できるようになった。

こうして新しい方法が現れるたびに、バッグはより簡単に使えるようになってきた。それでもジップロック社の技術チームは 「親指が滑る」のをなんとかなくそうと奮闘を続けてきた。きちんと閉ったジッパーをもう一度開けようと袋を開くときにかかる、数秒にいつもイライラさせられるからだ。

これを解決するために、彼らは昔からある「ある物」のデザインをヒントにした。封筒だ。バッグの口にほんの5ミリメートルほどのタブを付け加えることでジッパーをはがしやすくし、バッグを簡単に開けられるようにしたのだ。

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ジップロックの道は続く

いまのデザインにたどり着くまでに、ジップロック社の技術チームは長い年月を費やしてきた。基本コンセプトはCADモデルを用いて検証され、鉄板を用いたジッパーの鋳型でつくりこまれる。

2重ジッパーのバッグを注意深く見れば、バッグの口の上側に、小さな歯のような構造が並んでいるのがわかる。バッグの口を親指と人差し指で挟んでジッパーに沿って滑らかに動かせば、フックが柄の先をしっかりとくわえ込む仕掛けだ。こうしてジッパーを閉めると、50デシベルの大きさでパチンという音がするため、うまく閉ったことがわかる。

さらにジップロック社はくぼみ付きの突起を加えることで、指が正しい方向をたどるように触覚的な助けをつくった。ジッパーを閉じるときの音と感覚とが組み合わさって、バッグが正しく封止されたことがわかるのだ。

ジップロックこそ、マードセンが65年前に特許を取った「分離可能なファスナー」に次ぐ実績あるデザインである。それでもまだまだ、改良の余地は残っているという。技術チームは人々に新しいバッグを使ってもらおうと、いまも懸命の努力を続けているのだ。

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