毎日の緑茶習慣で死亡率が低下 shutterstock.com

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 緑茶は広く日本人に好まれ、緑茶に含まれるカテキンに殺菌効果があることなどから健康飲料のイメージがある。だが意外なことに、死亡や死亡原因との因果関係については、これまで決定的なものがなかった。循環器疾患、がんについての研究があるのみだ。
 
 しかし今月、国立がん研究センターが「緑茶には長寿効果がある」という研究結果を発表した(米国『Annals of Epidemiology』Web先行公開)。緑茶と死亡・死因についての多目的コホート研究の成果である。

「多目的コホート研究」とは、全国さまざまな地域から約10万人の生活習慣などの情報を集め、10年以上にわたって生活習慣病のなりやすさやなりにくさを追跡調査するものだ。費用も時間もかかるが、国民が健康でいるための手掛かりをつかむための、国による重要な大規模研究である。

 今回の研究開始は1990年および1993年で、平均約19年間を追跡調査した。対象となったのは、北は岩手県二戸から南は沖縄県宮古までの11か所に住む約9万人で、うち1万2,874人が追跡期間中に亡くなった。

たくさん飲む人の死亡リスクが低いのはカテキン、カフェインの効果!?

 解析の結果、緑茶を飲む量が多くなるほど死亡率が下がることがわかった。緑茶を1日1杯未満飲む人を基準に比較すると、女性は1〜2杯で10%、3〜4杯で13%、5杯以上で17%死亡率が低下する。同様に男性は1〜2杯で4%、3〜4杯で12%、5杯以上で13%下がる。

 なお、対象者は調査開始時にがんや循環器疾患になっていない人であり、解析結果は性別・年齢・地域・他の食習慣・運動習慣などの影響を受けないよう調整されている。また、コーヒーの長寿効果についても同時に研究が行われ、その結果はすでに本欄に掲載された。

 死因別にみると、がん死亡については男女とも有意な関連が見られなかった。しかし、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡では、明らかにリスクが下がった。

 心疾患では、1日3〜4杯飲む人が男女とも26%、1日5杯以上では女性37%、男性13%死亡率が低下する。女性は多く飲むと効果が顕著で、男性は多過ぎると効果が弱まるという、男女で異なる傾向がみられた。

 脳血管疾患では、男性3〜4杯がもっともリスクが低く29%で、5杯以上では24%だった。女性は15〜13%と、1杯以上の場合摂取量による差はあまりない。

 呼吸器疾患では、男性3〜4杯で28%、5杯以上で45%リスクが下がった。女性はリスクが上昇する群もあるなどはっきりした傾向は見られない。

 健康によいイメージの緑茶にお墨付きが与えられた結果となったが、その明確な原因の解析は十分ではない。ひとつには、緑茶に含まれるカテキンが血圧を下げ、体脂肪や脂質を調整することが考えられる。また、カフェインが血管や呼吸器の働きをよくしていることも考えられる。カフェインは眠りを妨げるなど悪者視されがちだが、健康維持につながる可能性があるようだ。
 
 また、この研究では、お茶の淹れ方は問わず、ペットボトルか粉末かなどの区別もしていない。緑茶の成分もさることながら、時々ブレイクタイムを設けてお茶を飲むゆとりも、病気を遠ざけるのかもしれない。
(文=編集部)