圧倒的な力で勝利を挙げたマキロイ その裏には…(Photo by Streeter LeckaGetty Images)

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 「ウエルズ・ファーゴ選手権」を圧勝したローリー・マキロイの勝ちっぷりは見事だった。3日目にクエイルホローのコースレコードを1打更新する「61」をマークして単独首位に浮上。そして最終日も「69」の好プレーを披露し、2位に7打差で圧勝した。
ローリー・マキロイの激勝を写真で振り返る!
 同大会で2勝目を飾ったのは、マキロイが史上初。彼にとって、この大会は2010年に米ツアー初優勝を飾った思い出の地だ。そこで今年、米ツアー通算11勝目を挙げたことは、わずか5年の間に彼が目覚ましい成長を遂げ、世界ナンバー1にふさわしい選手になったことを物語っていた。
 「以前に比べると、最近は自分自身を制御できるようになり、ゴルフそのものもコントロールの利くプレーができるようになった」
 安定した心、安定したプレーぶり。心身の静かな安定性が、ひいては爆発力につながり、驚異的なスコアや圧勝を導き出す。マキロイは、そんなゴルフの奥義を私たちに見せてくれたように思う。
 だが、そこでもう1つ思ったことがある。安定した心と健康な肉体、そして安定したプレーぶりが爆発的ゴルフにつながるのだとしたら、彼の心はどんなときにどうやって安定するのだろうか。そんな疑問を覚え、彼の歩みを少しばかり昔へ辿ってみたら、あることに気が付いた。
 まだマキロイがメジャーチャンプになっていなかった2011年マスターズの最終日。フロント9では首位を独走していながら、バック9に崩れ、「80」を叩いて15位に甘んじたマキロイの心は、言うまでもなく、それから数週間、乱れに乱れ、揺れていた。
 だが、次なるメジャーの全米オープンを迎える前週、彼はユニセフ大使としてハイチを訪れ、貧困に喘ぎながら必死に生きる子供たちと接し、その直後にコングレッショナルにやってきた。
「当たり前のようにペットボトルの水が飲める幸せ、ゴルフができる幸せを痛感した」
 その幸せの中で自分ができること、やるべきことは、ベストを尽くして試合に勝つこと。勝利で得た喜びと恩恵を人々と分かち合い、社会に還元すること。
「自分が悩んでいたことが、ちっぽけに感じられ、だからゴルフに集中できた」
 それが、あの全米オープンの圧勝につながったのだと、あのときマキロイは語っていた。そして今回。マキロイは大会開幕前のプロアマで、血液の難病を持って生まれた16歳の少女とともにプレーした。その少女は、大会スポンサーのウエルズ・ファーゴが行なったエッセーコンテストで優勝し、そのご褒美として得たものが、憧れのマキロイと同組でプロアマを回ることだった。
 「病気の子」と呼ばれ、閉じこもりがちだった少女は、7歳のとき、同じような病気を持つ子供たちばかりが集う医療施設に入り、明るく前向きに人生を歩む同年代の子供たちから勇気とパワーをもらったそうだ。そして、飛んだり跳ねたり走ったりできなくても、ゴルフならできると思い、クラブを握ったという。大好きなマキロイと一緒にプレーができて「夢が叶った」と大喜びしていた少女と接し、マキロイ自身も感じたことは多々あったようだ。
 「僕が彼女ぐらいの年齢だったころ、僕は誰よりも必死に練習しているという自負があった。そして、どんなときも、何に対しても、『オマエには無理だよ』とは絶対に誰にも言わせなかった。そのことを彼女に伝えたんだ」
 無理だとは言わせない。可能性はゼロではない。やればできる。そんなネバーギブアップの精神を病と闘いながら生きる少女に伝えた自分が、ここで頑張らなくてどうする?
 そんな気持ちを、あらためて抱いたからこそ、マキロイは3日目も4日目も様々な記録を更新しながら快走し、圧勝したのではないだろうか。私には、そう思えてならない。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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