『トップガン』を軸に、数々の有名映画・TV番組の名場面・名台詞もろもろをパロディにしたコメディアクション『ホット・ショット』(1990)。そして、さらに濃厚な味付けにしたのが今回のお題となる『ホット・ショット2』(1993)です。

 湾岸戦争をネタにした本作は、『トップガン』ネタは消え、主役とヒロインの設定だけ引き継ぎ、あとは『ランボー』テイストに置き換えられています。

 イラクでの2度の捕虜救出作戦に失敗した米国政府が、チャーリー・シーン演じる英雄トッパーに新たな救出作戦の指揮を要請するも、穏やかな生活を送る本人は固辞。だが、作戦を決行した旧知の大佐が捕虜になったことを知るや......
 というあらすじからして、『ランボー3/怒りのアフガン』のまんま。そもそも旧知の大佐役が元ネタの某大佐役を演じたR・クレンナ本人というのが凄いというべきか、やっちまったなというべきか。

 要はレスリー・ニールセンの『裸の銃を持つ男』系統の悪ノリパロディなんですが、前作以上に引用元が多く、公開から22年経た現在においては30代以上でもないと、『ランボー』シリーズや『ターミネーター2』はともかく、『氷の微笑』『地獄の黙示録』『アメリカン・グラディエーターズ』などそこそこメジャーなネタすら意味不明かもしれません。
 『地獄の〜』ネタでは、同作で主人公役を演じたマーティン・シーンとの親子共演が実現してるんですけどね。

 本作は湾岸戦争終結から2年、イラク国内の平和治安維持や武装解除問題が未解決というまだ微妙な時期に公開されましたが、プロレスでも意外と政治ネタに躊躇がないのがWWEです。

 WWEでは旧来から特定の国(人種)をヒールに位置づけたタカ派的なネタ(※)をぶっ込んでくる傾向があり、2015年4月現在も、ウクライナ問題で危ういロシアのギミックとしてルセフとラナ(女性マネージャ)をプッシュし、プーチン大統領の名前を出したりもしています。

 湾岸危機の1990年当時(WWF時代)はもっと過激で、元軍人の米国愛国者ギミックで知られた「サージェント・スローター」を"サダム・フセインに魂を売ったアメリカ人"という設定で、当時最大のヒールに設定。中東系ヒール、ムスタファ大佐(アイアン・シーク)を相棒に、ベビーフェイス勢らと抗争を展開しました。

 しかし、湾岸戦争開戦の時期と重なったこともあって世間からは非難轟々。売国奴スローターはアルティメット・ウォリアーからハルク・ホーガンにWWF世界ヘビー級王座を移動させるための繋ぎ役のヒール王者としての仕事を終えると、シレッと愛国者ギミックに戻っています。

 WWEが最終的に勧善懲悪でオチをつけたように、本作も敵となるフセインを憎めない悪役として描いて深刻なイメージを回避(『ターミネーター2』ネタのシーンでとある動物と合成されちゃうし)。元ネタ云々以前に、ニワトリの弓矢やら殺戮カウントやらコテコテのアメリカンコメディ故に、正直、人を選ぶところはありますが、80年代のテイストを残すバカ映画としてオススメしたい一本です。

(文/シングウヤスアキ)

※ 観客である米国民を煽る立場として米国の敵国(人種)をヒールに設定し、ベビーフェイスがそれをやっつける、というスキーム。冷戦末期のニコライ・ボルコフらによるソ連ギミックもそのひとつ。