チャンピオンズリーグ。意外なチームが優勝したケースは、03〜04シーズンのポルトぐらいだ。優勝チームは、たいてい優勝候補の中から生まれる。大枠で言えば、だいたい10チーム。その時々に限れば、候補は4、5チームにまで狭められる。6番手、7番手のチームが優勝することはまずない。

 にもかかわらず、連覇するチームが生まれない。88〜89、89〜90シーズンのミランが最後になる。この状態が、かれこれ四半世紀も続いているわけだ。

 マドリーは、97〜98シーズンから01〜02シーズンまでの5シーズンに3度優勝を飾っている。しかし、その優勝は1年おき。戦力はほぼ同じ。サッカーの中身もそう大差ないのに、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだシーズンのサッカーは、優勝した前シーズンのサッカーに劣っていた。

 バルセロナも、05〜06シーズンから10〜11シーズンまで6シーズンで3度優勝を飾っている。だが、これも同様に、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだシーズンのサッカーは、優勝した前シーズンのサッカーに微妙に劣っていた。

 今季、連覇を懸けた戦いをしたのはマドリー。ベイル、ハメス・ロドリゲスを補強し、優勝した昨季より戦力はアップしていた。準決勝の相手であるユベントスより、戦力的には上だった。しかし、マドリーは敗れた。特段悪いサッカーをしたわけでもないのに。一方のユベントスが、特段よいサッカーをしたわけでもないのに、だ。

 マドリーはまさに「優勝した翌シーズンのサッカー」をした。思い切った、チャレンジャーらしい戦いをした昨季の準決勝、対バイエルン戦と比較すれば、それは一目瞭然になる。少なくとも精神的には、バイエルンより攻撃的だった。

 バイエルンはその逆。サッカーは攻撃的でも、精神的には受けていた。重苦しいムードに包まれながらプレイしていた。時のバイエルンもまた、連覇を懸けた戦いだったのだ。優勝した翌シーズンのサッカーに陥ったと言える。

 もし今季、マドリーの準決勝の相手がユーベではなく、より戦力の高いバイエルンだったらどうだっただろうか。昨季の準決勝に近い感覚でプレイできたのではないか。

 一方のバルサも、バイエルンではなく、それより劣る感じのするユベントスだったらどうだっただろうか。バルサらしい戦いはできただろうか。

 それはそのまま決勝戦の見どころになる。バルサのサッカーはユーベのサッカーより、明らかに攻撃的だが、格上なので精神的には受けに回りやすい。ディフェンディングチャンピオンのような「絶対に負けられない戦い」を強いられる可能性がある。バルサが慎重になればなるほど、ユーベにチャンスが生まれる。僕はそう見ている。しかも決勝は90分の一発勝負。強者は90分×2の準決勝以上に、慎重になりやすい。

 精神論より戦術的な側面でサッカーを語ろうとする傾向が僕にはあるが、2連覇を目前に控えたチームが、敗れていく姿を相次いで見せられると、そうも言っていられなくなる。少なくとも一発勝負では、精神的なノリが、より大きなウエイトを占めると言いたくなる。

 それを左右するのは、両者の立ち位置だ。一発勝負のサッカーは、つまり弱者有利にできている。前評判の高い方に逆風は吹きがちだ。サッカーに番狂わせが多い理由。CLに2連覇するチームが誕生しない理由に他ならない。

 とはいえ、精神面だけでサッカーを語るのは本意ではない。マドリーはなぜ敗れたか。サッカーの質にも触れてみたい。

 宝の持ち腐れというか、もったいなく映ったのはベイルだ。能力が引き出されていない感じがした。これは、ユーベ戦に限った話ではないので、本人の問題というより、戦い方の問題だと思う。ベイルのポジションは4−3−3の右FW。だが、彼は右サイドの高い位置で、いい形でボールを受けることができなかった。つまり、マドリーの攻撃は左右対称ではなかった。