これからの季節、美女を遊びに誘いやすいレジャーといえばバーベキューや釣り。遊び道具がたくさん積める「美女を誘いやすいクルマ」の代表として、ゴルフバッグが縦に3本積めるドデカい軽「ダイハツ・ウェイク」がある。この「ウェイク」を中心に、これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)がドデカイ軽自動車を評価した。

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 まず積載性。これは文句なくすごい。普通乗用車でも、これだけたんまり積めるクルマはそうない。なにより凄いのは144.5cmもある室内高だ。これはホンダのミニバン、ステップワゴンより5cmも高い。さすが「ゴルフバッグを縦に3つ」はダテじゃない。

 オプションで車中泊マットも用意されていて、これをたたんだシートの上に敷けば2名が余裕で寝られる。ただしこれ、2名分で約8万円と決してお安くない。だいたいウェイク自体がお安くない。ベーシックなグレードでも135万円で、快適・安全装備が充実した4WDの最上級グレードとなると187万円。これにオプションを多めに付けると220万円くらいになってしまう。

 軽自動車は安いだろうとナメてると、契約の席でひっくり返るので注意してほしい。

 さてこのウェイク、軽自動車最大級の大きさを誇るだけに車重も最大級。それだけに加速はイマイチで、ターボ付きを選ばないと山道は上らない。いや、上らないことはないが、ものすごく遅くなる。首都高の入口の上り坂で絶望的な気分になることもあるので、山道や首都高を走る人には、ターボ付きをおすすめする。

 ただ、もうひとつ問題がある。乗り心地が悪いのである。

 なにしろウェイクは軽自動車最大級の全高を誇る。背が高ければそれだけ重心が高いので、カーブで傾いてひっくり返りそうにならないように、足回りを相当固めてある。そのぶん安定はしているが、サスペンションが固い上に着座位置が高いから、高速道路の継ぎ目を通るたびに頭が前後にガクガク揺れてクルマ酔いしやすい。これは美女とのドライブにはマイナスポイントだ。

 確かにウェイクの尋常ならざる積載性は魅力だが、ここまで広くなくても、美女とバーベキューや釣りに行ける軽自動車はある。たとえば、前回取り上げたハスラーでも十分広い。

 というより、今の軽自動車は、スズキ・アルトやダイハツ・ミラなどのベーシックなタイプを除けば、ほとんどのモデルが十分すぎるほど広い。中でもウェイクは最大級にデカいのだが、デカすぎるが故のネガがあるので、かえってハスラーくらいにしておいた方が、ツブシが効く。ハスラーくらいの大きさなら、エンジンはターボなしでもそこそこ山道を上ってくれるし、首都高の合流で怖い思いもしないですむはずだ。

 ハスラー以外では、ホンダのN-BOXを推したい。室内のサイズはウェイクより少し下でハスラーより少し上。そしてN-BOXの美点は、機能的な直線基調のデザインにある。シンプルで、所帯じみた雰囲気が薄く、いかにも「アウトドアの道具」という風情。これなら美女にも好感を持って受け入れられそうだ。

 ウェイクも見た目は十分合格だが、美女が車酔いしてダウンでもされたら、オッサンの綿密な計画が水泡に帰してしまう。それに価格が200万を超えるとなれば、カミさんも黙ってはいないだろう。あらゆるリスクを最小限に抑えたい安定志向のご同輩には、ハスラーかN-BOXをおすすめする。

■清水草一:編集者を経て、フリーライターに。「自動車を明るく楽しく論じる」がモットーの53歳。現在、フェラーリ・458イタリア、BMW・335iカブリオレ、トヨタ・アクアを所有。日本文藝家協会会員。

※週刊ポスト2015年5月22日号