スポーツの世界記録が更新され続ける「3つの理由」

写真拡大

スポーツにおける記録は目覚ましいほどに更新されています。1分1秒というタイムを縮めるその裏には、選手の血のにじむような努力が隠されていますが、進歩の理由は果たしてそれだけでしょうか?
スポーツ記者として活動するDavid Epstein氏は、「TED Talks」でその理由を「選手の努力以外に、大きな理由が3つある」と語っています。その理由をまとめると、

1.技術の進歩で、競技場やユニフォームなどが大きく改良された。2.そのスポーツに最適な、特徴的な体つきの人が選別されるようになった。3.スポーツにおけるマインドセットの大切さが理解された。

スポーツ記者ならではの視点で展開されるスピーチからは、意外な事実に気づくはず。

th_shutterstock_197557880

2012年に行われたロンドンオリンピックの男子マラソンでは、ウガンダのキプロティク選手が2時間8分で金メダルを獲得しました。もし彼が100年前のオリンピックの金メダリストと対決したら、1時間半近くの大差をつけてゴールしたことになります。長距離だけでなく他の種目でも、当時と現在の世界記録には大きな開きがあります。

人類は着実に進化し続けていますが、たった100年でここまで大きく変化した訳ではありません。では、その背景に何が起きているのでしょうか。

スポーツ用品も進化
競技をする環境が、劇的に変わった!
th_shutterstock_202840420

現在では短距離走の選手は、スターティングブロックを蹴り快適に走れるよう設計された地面の上でタイムを競い合います。一方、昔の選手はスターティングブロックの代わりにスタートラインにスコップで穴を掘り、エネルギーが吸収されてしまうような柔らかい地面の上を走るのが当たり前でした。

競技をする環境の技術革新は、想像以上の大きな差を生み出しました。これは他の競技でも同じで、例えば摩擦を軽減するスキー板や、選手の負担を少しでも減らすことのできるシューズ。全身を覆う低摩擦抵抗性の競泳水着などが、スピードに貢献しています。

スポーツに適した、”体型”がわかった

次に挙げられるのが、選手の体形の変化です。20世紀前半までは、平均的な中肉中背の体型がスポーツにおいては理想的だとされていました。今では考えられませんが、走り高跳び選手と砲丸投げ選手が全く同じ体格をしていたのです。

しかし現代では、各競技に特化した体型が最適であるという考えが常識です。テレビやインターネットといったマスメディアの台頭によって、何十億人という人々がスポーツを観戦をできるようになりました。その中でどういった体型がベストか、多くの人が知るようになったのです。
今、バスケットボールの選手の身長は2メートル弱、両手を広げた腕の長さは2.1メートル。また体操選手のカラダは空中回転に対応するためより小さくなり、水球選手の腕の長さは力強い投球のためにさらに長くなりました。

このようにパフォーマンスに最適な体格の持ち主が求められるようになったことで、以前はスポーツ競技に参加しなかった人々が大会に加わるようになりました。暑い地域に住んでいる人々の多くはカラダを冷やすために手足が長く末端に向かって細い体型を持っています。例えばそれは、マラソン向きの体型と言えるでしょう。

“マインドセット”を変えることで
肉体の限界を超えられるようになった

150406_blade-runner

最後に挙げられるのが、人体が解明されたことで心の捉え方、つまり”マインドセット”の大切さが理解されたことです。
現在ではスポーツの分野でもビジネスなどと同じように、よい成果を生み出せるような考え方をもつことを重要視しています。

あまり知られていませんが、普段私たちの脳はアキレス腱や靭帯を痛めないよう肉体的能力を100%使わないようにしています。しかし、マインドセットを変えることで脳にこれ以上無理を加えても大丈夫とカラダに信じ込ませることができます。それによって限界を超えることが可能になるのです。

もちろん、アスリートの努力はすばらしいものです。しかし技術革新や常識の変化、そしてマインドセットなど多くの要素によって選手たちはより早く、そして強くなってきたのです。

 Reference : TED Talks