紫式部はキャリアウーマン? 安倍晴明の年収は? “歴女”初心者におすすめの歴史本3冊

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女優の杏さんなど、歴史好きの女性が“歴女”と呼ばれて久しいですが、歴史に少しだけでも興味がある女性は、少なくないのではないでしょうか。

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だからといって、司馬遼太郎や松本清張の歴史などは、歴史本初心者の女性にとっては、なかなかとっつきにくい。
そんな方に是非紹介したい、読みやすく興味深い“歴女本”があるのです。

■「もしも紫式部が大企業のOLだったなら」井上ミノル著/創元社

基本的に漫画本で、キャッチーなイラストで描かれているからとても読みやすいです。この本のおもしろいところは、歴史的事実をそのまま漫画にして書いているのではなく、歴史上の人物の特徴を捉えた上で、それを現代設定に置き換えて描いているところなのです。

いまも著名な人物たちが、どのように書かれているかというと…

《紫式部》携帯小説「源氏物語」がヒットして商社(実際は宮廷)にスカウトされましたが、女社会に溶け込めず5ヶ月ほど出社拒否。平安時代は、賢い女は特に同性から嫌われたので、その後はあえてバカに振る舞って社会復帰を果たしていく姿など、女性が悩みながら生きる術を身につけていく様が書かれています。

代表作の中でも特に「紫式部物語」は、悩みながらもキャリアウーマンとして成長して行く元専業主婦の紫式部自身のエッセイ集で、専業主婦時代の友人との溝に悩んだりしている紫式部の話は、1000年前もいまも女性の悩みは変わらない、と共感を持つことができます。

《清少納言》藤原定子副社長(皇后)の元でのOL生活(宮仕え生活)をブログに綴り、一躍人気ブロガーとなった。社内(宮廷)の男性からは「生意気だけれど、メール(実際は和歌)を交わすと打てば響くって感じで面白いよな。他の秘書たちはお堅いけれど、あいつはキワドイ内容も知性で対応するあたりさすがだよな」と評判です。

清少納言が詠んだ歌に「夜をこめて 鳥のそら音ははかるども よに逢坂の 関はゆるさじ」というものがあります。なんだか小難しいことを言っているようですが、これは同僚男との和歌のやりとりの中のひとつです。

要は、
同僚男「昨日は良かったよ(ただの飲み会)」
清少納言「ちょっと!ヤッたみたいに言わないでくださいよ!」
同僚男「あれ?やらなかったっけ?」
清少納言「私、簡単にはさせませんよ!」
という、今でもよくある軽い下ネタが入った冗談のやりとりなのです。

漫画のあとに“ホントはこんな話”とわかりやすく事実に基づいた解説もあり、歴史が身近にわかりやすく感じられる作品です。

■「乙女の日本史」/堀江 宏樹・滝乃みわこ著/角川文庫

乙女目線で、古事記の頃からの日本史が描かれています。古事記の頃からすでに面白く、昭和まで読み解かれているのですが、その中でも興味深い一部を紹介します。

鎌倉時代に活躍した源頼朝・義経兄弟が史上で有名ですが、その兄弟のまさに正反対の性格の特徴・物語が描かれています。

《源頼朝》は、後白河院の愛人(美少年好きだったよう)とも言われ、少年期から都で政治の裏側を見て来て冷めた性格に…。
ゆえに、体よりアタマが切れる政治家タイプで、冷徹な性格だったようです。

対する《源義経》は、一言で言えば山育ちの単細胞。
抜群の運動神経で、小柄で色白、落ち目になってもモテモテ。ただ素直だがおバカだったため、正反対のこの兄弟2人は水と油の関係だったようで、のちに義経は、頼朝にうとまれて自害してしまいます。
頼朝は、その何年か後に落馬して死亡しますが、義経の霊が祟ったのかもしれません、という興味深い著者の推測も加えられています。

この本には、歴史好きの中ではときおり騒がれる《上杉謙信女性説》の具体的理由も描かれていています。

まず上杉謙信の最大の謎は「なぜ結婚せず世継ぎも設けなかったか」というところです。その時代には、異例どころかやってはいけないことでした。
その謎がある中で、他にも多数疑惑のエピソードがあり、それによって彼の女性説はどんどん深まっていくのです。

例えば、彼は1ヶ月に1度、毎月10日前後に必ず腹痛で気分が悪いといって、合戦をとりやめているそうです。これに関しては、この腹痛は女性の月のものなのでは…という論争が後に起こっています。他のエピソードとしては、その頃ビジネス書として読まれていた「源氏物語」(女性の取り合いを、下克上の先取りという意味で読まれていた)を、彼は泣きながら異常なほど愛読していたことや、ピンクなどの派手な衣装を好んだ等あり、女性っぽいという疑惑が浮上していったそうです。

歴史は、教養必須科目として教科書で習った人が多いため、お堅いものと思ってしまいがちです。ただ、このように一人一人の人物のエピソードを知ると、愛着も湧き、歴史をもっと知りたくなりますよね。

■「日本人なら知っておきたい日本文学」/蛇蔵・海野凪子著/幻冬者

基本的に漫画で、“人物で読む古典”というサブタイトルです。
《安倍晴明》は、「平安の闇を操る陰陽師の安倍晴明がカッコイイ!しかも高給取りの公務員で年収は二億から四億円!?」と描かれています。

国家機関、陰陽寮に勤める公務員の安倍晴明は、普段は天体観測をしたり、時報を出したり、カレンダーを作って吉日を決めたりします。
陰陽道は当時最先端の科学であり、怪異が起こると陰陽師に対処を聞くのが普通でした。天皇の相談に乗るような公務員陰陽師は超エリートで、中でも出世した晴明の推定年収は2〜4億円だったそうです。

鎌倉時代末期に生きた徒然草の作者《吉田兼好》はシンプルに賢く生きるノウハウ本である「徒然草」を出版。その中で兼好は「最近凝った名前多いよね…昔はもっと素直に名付けていたと思うのだけれど。人の名前に見慣れない漢字を使うことがいいとは僕は思わないなあ」と残しています。まるで最近の話のようですが、700年前の発言なのです。

そんな兼好は、若い頃サラリーマンでした。30歳で出家を決意し、歌をして質素に暮らしていくといい、周囲は心配しましたが、のちに歴史に名を残すほど歌で成功します。今の紅白出場くらいの名誉である勅撰集にも詠んだ歌が選ばれたのでした。

いずれの歴女本も、歴史上の人物が興味深く、また親しみやすく描かれています。時代の普遍を読み解き、何千年前のひとも同じことで悩んでいたのかと思うと、いまあなたが悩んでいることに対しても、少し気が軽くなるかもしれませんよね。

ノンフィクション読み物としても面白い歴史を、学生時代の暗記科目で終わらせるのはもったいないと思わせてくれる、歴女本たちです。