武藤嘉紀もリタイア…ハリルホジッチ監督が厳しい合宿を課した理由

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代表選手、スタッフらがヴァイッド・ハリルホジッチ監督の周りに集まり円陣を作る。そして槙野智章がかけ声をかけて一同が盛り上がったところで、5月の日本代表候補合宿終わった。

12日からの1泊2日の予定を終えた合宿は、最後こそまるで大学のサークルのようなノリだったが、内容は厳しいものだった。ゴールデンウイークを挟む連戦で疲労困憊の選手たちが、1日休んだだけで集合し、2日目は午前中90分、午後80分の2部練習をこなしたのだ。初日には不安を漏らす選手もいた。

実際、FC東京の武藤嘉紀は初日途中でリタイアし、2日目は山口螢も別メニューとなった。激しい負荷がかかるトレーニングではなかったが、それだけ選手たちの限界は近かったということだろうか。

ただ今回の合宿では、それすらも監督の狙いだったふしがある。

ハリルホジッチ監督が就任して以来、代表を取り巻く慣習はがらりと変わった。会見にもスタッフ以下全員が集合し、一部トレーニングには強化委員長も参加し、一緒に汗を流さなければならない。

くわえて監督は、リーグや各選手のプレーについての歯に衣着せぬ批判も欠かさない。

こうした監督の言動は、まるで目の前の緊急事態にスクランブルで対応しているような緊張感が演出している。代表全員の力を集めないかぎり乗り越えられない大きな壁を、乗り越えようとしているようだ。

だが、実は日本が置かれている状況は、まさに危機的とは言えるのではないだろうか。先のワールドカップでは惨敗し、アジアカップも勝てなかった。Jリーグは2ステージ制に戻さなければいけないほどに話題性が薄れている。

世界の中で勝負しようとしたとき、現状ではあまりに刺激が少なすぎた。現状を大きく変えない限り、日本サッカーは完全なマンネリズムに陥ってしまう。

ハリルホジッチ監督は今、そうした現状の「破壊者」として動いている。他人を動かすのみならず、自らもトレーニングに参加し、スタッフから「ワーカホリック」と言われるほどだ。

戦術面については、まだこれから明らかになっていくだろう。現時点で見えている姿は「人懐っこい破壊者」だ。しかしそんな彼に、大きな期待が集まっていることも確かだ。そのことは合宿中、平日にもかかわらず観客で満員となったスタンドが証明している。

【日本蹴球合同会社/森雅史】