5月11日、取材に応じた日本代表ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、言葉を選びながらGKについて語った。この際、合宿に参加する選手のうち1人だけは明確に批判した。

監督はGKについて「空中戦のボールに存在感を出して欲しい」「それに日本だけではないが、GKはあまりフィジカルトレーニングをしない」「それからコミュニケーションにしてもGKが他の選手ともっと会話をしなければいけない」などとダメ出ししていた。

日本人GK一般の話に思えたが、中にはこんな発言もあった。

「昨日も試合を見た(FC東京vs鹿島)のですが、どちらのチームも失点しそうなときにGKのコミュニケーションが足りなかった。私が逆サイドにいてもGKの声が聞こえるくらいでいてほしい」

ターゲットはFC東京のGK、権田修一である。

権田本人にこのことを聞いたところ「記事で読みました。あぁ、オレ、言われてるなって」と切り出し、ほんの少しだけ笑みを浮かべてこの話題について語った。

権田は「ヨーロッパに親善試合に行ったときハイボールで押し込まれるのを感じたし、セットプレーがすべてピンチになっていました」と、監督の指摘が国際試合での自らの経験に符合すると認めた上で「そこをGKが助けなければと思っているので、僕も伸ばしていきたいと思いましたね」と語った。

またフィジカルについても「確かにアフリカ人のような身体能力や北欧の選手のような高さもない」とし、「監督の思っている世界基準に合わせられるようにしたいと思っています」と抱負を語った。

コミュニケーションについてはどうか。権田は「強豪を倒すチームはGKが後ろから雰囲気を作っている。それを求められているとチャレンジしていきたいと思います」などと、今後積極的に声を出していくと表明した。

監督の批判はほぼ名指しであり、反発心を抱いてもおかしくない。だが権田は、監督の言葉を記事として読み、内容が心に刺さったようだ。彼は、世界基準を示してくれる人物として監督を受け入れている。

ところで、監督はこの合宿中に個々の選手とコミュニケーションを取ると話していたが、権田に対して監督は何を伝えたのか。

「いや、無かったけど、僕が聞きたいことがあるので自分から言ってみようと思います」

監督が改善を求めた自発的なコミュニケーションの問題は、もうすでに解決されつつあるようだ。


【日本蹴球合同会社/森雅史】