4月30日、日経平均は前営業日の終値よりも538円も急落して取引を終えた。今年最大の下げ幅である。1万8千円を超えてからの上昇が急激だったので、その反動を懸念する声が以前から出ていたが、実際に急落すると脳裏に浮かんだのが2013年5月23日の光景だ。

 日経平均は前日比1143円も急落し、その後もパッとしない展開が続いた。直前まで人気化していた銘柄の中には、今でも低迷したままのものも少なくない。

「期待先行で買われたが、業績が伴っていなかった企業はそのまま放置されました。結局、急落前の高値を更新しているのは、業績が着実に伸びている企業です」

 こう説明するのは、SBI証券シニアマーケットアナリストの藤本誠之さん。言い換えれば、今の日本企業の大半が好業績なら、一昨年のように調整が長引く確率は低いということだ。

 マネックス証券シニア・マーケットアナリストの金山敏之さんは指摘する。

「16年3月期も日本企業の好業績は続き、前期比で10〜15%の増益を遂げるとの見方が株式市場のコンセンサスとなっています。その点を踏まえれば、2万2千円程度まで上昇しても不自然ではありません」

 つまり、純粋に業績が伸びているから株価が上昇しているという色彩が濃いのだ。ネット企業にバラ色の夢を抱いた00年のITバブルとは違い、円安や原油安などを背景に、今の日本企業の多くには実績が伴っている。しっかりと好業績企業を選び抜いておけば、再び急落するシーンがあってもさほど慌てなくてすむ。 しかも、業績が大幅に伸びている企業の中には、株主にもその“おすそ分け”をするところがある。多くの企業は、利益の一部を配当として株主に還元している。良心的な企業は、利益が増えた分だけ、株主への配当金を増やしてくれるのだ。つまり、増配である。

 増配を行う企業は、株式市場でも高く評価される。たとえば、株主を軽視していると批判されがちだった、産業機械メーカーのファナックが増配などを検討すると3月中旬に報道されると、同社の株価は過去最大の上げ幅となり、上場来高値を更新。さらに、配当に関して具体的な目標値を発表した際にも急騰した。

 せっかくなら株価が上がる前に、いち早く増配銘柄を手に入れたいものだ。そこで、今回スポットを当てたのが「これから増配する可能性が高い銘柄」である。まず、金山さんにピックアップしてもらったのは、3月期決算で、10期以上も連続で増配を続けてきた企業だ(下の表)。

 むろん、「今後も必ず増配すると保証しているわけではない」(金山さん)。しかし、これらはいい意味での“常習犯”だ。

◇10期以上連続で増配している企業(銘柄名/連続増配記録/株価[円]/配当利回り[%]/どんな企業?)
科研製薬/13期/4175/1.39/製薬会社大手。ジェネリック(後発)医薬品も手掛ける
SPK/17期/2340/2.61/自動車の補修・車検部品などの専門商社。建設機械の建機組み付け部品も取りそろえる
ユー・エス・エス/17期/2108/1.76/中古車オークションのトップ企業。買い取り専門店「ラビット」を全国展開
小林製薬/16期/8010/1.15/ユニークな商品名の家庭用品など製造。芳香消臭剤で首位。今期の増配もすでに発表
リンナイ/13期/9040/0.84/給湯器などガス器具でトップシェア。中国や米国など海外市場でもシェア獲得を図る
シスメックス/13期/6530/0.49/日米などで、検体検査機器・試薬を展開。血球計数装置で世界首位級のシェア
芙蓉総合リース/13期/4850/1.61/みずほFG系の総合リース会社で業界5位。情報関連・事務機器や不動産などのリースが得意
東京センチュリーリース/13期/3765/1.7/みずほFG系のリース大手。LCCのジェットスターに出資し、航空機リースに注力
三菱UFJリース/16期/638/1.29/旧三菱系と旧UFJのリース会社が合併し、国内首位級のシェアに
トランコム/14期/5630/1.21/名古屋が本拠の総合物流会社。センター受託、物流情報サービス(求貨求車)などを展開
KDDI/13期/2856.5/1.87/携帯電話の「au」が主力。ケーブルテレビ最大手のJCOMを連結子会社化
沖縄セルラー電話/13期/3680/2.28/KDDI傘下の総合通信会社で、沖縄県における携帯電話のトップシェアを誇る
サンドラッグ/13期/5830/1.03/東京西部に強い大手ドラッグストア。九州・中国・四国でディスカウントストアも展開
注:株価は5月1日の終値

週刊朝日  2015年5月22日号より抜粋