株価の本格上昇が始まってから約2年5カ月、ついに日経平均株価は終値で2万円台を回復した。4月末には今年最大の下落を記録したが、まだまだ上昇の余地はあると考える市場関係者は多い。企業業績が好調だからだ。

 確度が高いかたちで、増配の可能性が高い銘柄を探し出していこう。配当性向と呼ばれる指標に注目してみる。これは、利益(税引き後)のどれくらいの割合を株主に配当金として支払っているのかを示した指標だ。当然、この数値が高いほど、株主還元に積極的な太っ腹の企業と判断できる。

 投資情報サイトの運営などを手掛けるフェアトレードの田村祐一アナリストはこうアドバイスする。

「配当性向のみならず、自社株買いにも力を入れているのかというポイントも見逃すべきではありません」

 自社株買いとは文字どおりで、自社の株を買い取ることだ。理論上、その分だけ市場に流通する株券が減って、1株当たりの価値(株価)が上昇する。実際、自社株買いが発表されると、理屈以上に株価が上昇するケースも少なくない。

 これら両方に力を入れているのは、それだけ稼いでいるからこそ。企業の中でも、ひときわ増配の可能性が高いという。つまり、大本命だ。

 なお、利益のどれくらいの割合を配当と自社株買いに回しているのかを示すのが「総還元性向」と呼ばれる指標だ。その目標値を具体的に示している企業は、株式市場でも注目される。 前期よりも利益が増えた場合、配当性向や総還元性向の数値目標を順守するなら、おのずと増配されることになる。今から増配を見込んだ先回り買いが可能なのだ。こうした観点から、田村さんに選んでもらったのが下の表だ。

 このうち、土地のオーナーに節税対策の賃貸住宅を提案する大東建託は4月28日に15年3月期決算を発表し、7期連続で過去最高益を更新。併せて発表した会社予想によれば、16年3月期もさらに過去最高益を更新する見通しだ。8期連続増益となる。

 残念ながら前期の年間配当は391円から375円に減額されたが(前々期は347円)、今期は前期比24円増の399円に増額する方針を発表している。増収増益が続く限り、増配を実施する可能性が非常に高いという。

 人手不足が深刻化していることから、製造業派遣のUTホールディングスの経営環境も良好。総還元性向50%を目標に掲げており、前期はすべて自社株買いに回してしまったために無配だったが、今期は復配の可能性が大だという。

「他に先駆けて総還元性向という言葉を用い、さらにその目標値を100%と定めたアマダホールディングスも見逃せません」(田村さん)

 総還元性向100%とは、「利益をすべて株主にお返しします!」という大盤振る舞いなのだ。同社は金属加工機械でトップクラスの実績を誇っており、業績も絶好調だ。これに追随し、半導体商社の菱洋エレクトロも総還元性向100%を目標に定めている。

「株主還元に関して、アマダと並び称されるのが王将フードサービスでしょう。やはり、総還元性向100%を目標としていますし、株主優待の内容も好評で、株主に優しい会社として大人気です」(同)

 さらに、数年間の限定ではあるものの、総還元性向100%以上の目標を掲げているのがインテリア商社のサンゲツだ。利益以上の還元を行えるのは、内部留保が潤沢にあるからこそ。

◇株主還元に積極的な姿勢で今期も好業績が見込まれる企業(銘柄名/株価[円]/配当利回り[%]/どんな企業? 還元に対する姿勢は?)
1.大東建託/13760/2.9/配当性向50%目標。相続税法改正で節税対策による建築需要が旺盛。今期はすでに増配を発表
2.積水ハウス/1862/2.9/配当性向40%、総還元性向60%目標。相続税法改正で節税対策による建築需要が旺盛。連続増配中
3.UTホールディングス/522/今期無配/製造業派遣大手。総還元性向50%目標。製造業向け派遣好調。15年期無配も大規模自社株買い発表
4.北の達人コーポレーション/820/2.07/健康食品などネット販売。機能性食品が好調で最高益連続更新中。株主優待の新設等も
5.アマダホールディングス/1187/2.19/金属加工機械で国内トップ級。配当性向50%、総還元性向100%目標。人件費高騰でアジアの需要旺盛
6.アイナボホールディングス/719/3.06/住宅設備機器販売。自己資本比率が5割超と高く、積極的な株主還元を明言。連続増配中
7.ピープル/1287/3.57/乳幼児向け玩具販売。配当性向100%目標。知育用がロングセラー。訪日中国人が“爆買い”
8.菱洋エレクトロ/1385/2.17/半導体商社。ROE5%達成のために、総還元性向100%目標。スマホ向け液晶が好調
9.サンゲツ/1819/2.06/インテリア商社。配当性向の過去実績は5〜6割程度。増配などを積極的に行う可能性
10.東京ガス/677.5/1.48/総還元性向60%目標。電力の小売参入で16年以降はガスと電力のセット販売が可能。中長期的に期待
11.メイテック/3805/2.65/技術者派遣大手。配当性向50%、総還元性向100%以内の範囲で、その他の還元策も目標
12.王将フードサービス/4215/2.37/配当性向40%、総還元性向100%目標。人気優待銘柄。株主還元に極めて積極的な企業
注:株価は5月1日の終値

週刊朝日  2015年5月22日号より抜粋