昨夜のミーティングではCL準決勝のバルサ対バイエルン戦を教材にレクチャー。ハリルホジッチ監督は世界レベルのサッカーを求めているのだろう。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 国内組28人を対象に、千葉県内で5月12〜13日に開催された代表候補トレーニングキャンプでは、やはり“縦”を意識した練習が多かった。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の初陣に続き招集された左SB・太田宏介のコメントからも、それは分かる。【PHOTOギャラリー】日本代表候補トレーニングキャンプ 「(合宿1日目の)昨日も、前回もそうでしたが、(メニューの中身は)統一されていると感じました」  DF陣を中心にやっていたインターセプトから攻撃につなげるトレーニングでも、横パスはほぼ皆無。早めに縦パスを付け、速攻につなげる──。3月の連戦(チュニジア戦とウズベキスタン戦)で随所にチャレンジしていたプレーが、今回のミニ合宿でも徹底されている印象だった。  “縦へのこだわり”は、昨夜のミーティングでもハリルホジッチ監督から伝えられていた。太田は言う。 「要求されたのは縦への速さと球際の強さですね。チャンピオンズ・リーグのバルサとバイエルンの試合の映像を見せられたうえで、奪われても全員が素早く連動して奪い返すことを言われました。そういうところの意識付けは徹底されていましたね。 (非公開となった合宿2日前の)午前練習で実戦形式のトレーニングをやったなかで、みんながそれぞれ縦に速くプレーし、球際の部分では強く当たりに行っていたので良いゲームができていたと思います。それは今後も継続してやっていきたいです」  とはいえ、ハリルホジッチ監督は縦への意識や球際の強さばかりを求めているわけではない。攻撃的な選手を集めて行なわれたシュート練習では、仕上げの部分で“横パス”を挟んでいた。4人一組で「縦パス→落とし→縦パス→“横パス”→シュート」に持って行く練習の意図を、川又堅碁は次のように説明してくれた。 「あの練習では、前での工夫が求められていました。3人目と4人目の動きが絡んでいくようなプレーのなかで、今回はゴール前だから横パスを入れた。全部縦パスだと、サッカーになりませんからね」  縦パス、横パスを問わず、もしかするとハリルホジッチ監督がなにより求めているのは、意図を理解したうえでの正確なプレーかもしれない。実際、前述したシュート練習でも「落とし役」が中途半端にボールを浮かすと、プレーをストップさせて怒っていた。確かに次の展開を考えると、浮き球よりもゴロのボールがベスト。そうした意識がプレーに反映されれば、チームとしての“速さ”につながるのは間違いない。 


 闇雲に縦へ行くのではなく、意図も精度も伴ったプレーで攻守を機能させる。これこそ、ハリルホジッチ監督が今回の合宿で伝えたかったメッセージではなかったか。  良き教材は、チャンピオンズ・リーグ準決勝のバルサ対バイエルン。 「監督は自分がやりたいことを、あの試合の映像で伝えたかったんだと思う。バルサやバイエルンのプレスのかけ方だったり、こういうのをやりたいんだっていうのを昨日のミーティングでも言っていたからね」  そうコメントしたのは大久保嘉人だ。  昨年のブラジル・ワールドカップ以来の招集となったベテラン戦士はまた、「スピード感あるサッカーをやろうとしているのか」という質問には次のように答えていた。 「ボールを取った後は身体も前に行けって感じだから。日本人はそれでいいと思う。できない選手は代表に選ばれないでしょ」  ハリルホジッチ監督は3月の就任当初から「日本人には確かなテクニックがある」と言っている。近い将来とは言わないまでも、いずれ──。意識付け次第で、バルサやバイエルンのようなインテンシティの高いサッカーが日本代表もできると確信しているのかもしれない。 取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)