同年代のライバル・松山英樹がランキングで世界トップ10に入る健闘を見せている一方で、米ツアー3年目を迎えた石川遼は苦戦の日々が続いている。

 ザ・プレーヤーズ選手権(5月7〜10日)の出場を決めたものの、ランキングはシード権圏外の143位(5月5日現在)。かたや松山は日本人選手として今年のマスターズに唯一出場して5位に食い込み、ランキング(フェデックスカップポイントランキング)は9位と大きく水をあけている。

 マスターズ出場資格がなかった石川は、自身のブログで〈悔しいけど、こんなときこそ自分の意思を強く持って練習を続けるのみ。でもマスターズはチラチラ見ます。来年はあそこに行くんだ!〉と書き込んでいる。

 松山の活躍は石川親子にどう映っているのか。かつて帯同コーチとして“過保護”と批判されながらも寄り添ってきた父・勝美氏が話す。

「もちろん意識しています。“松山君はよくやっていますね”では済まない存在です」

 その上で正直な思いを吐露する。

「同じ土俵で自分の他にもう一人うまくいっている人がいると、“なんで自分はできないんだ”“あれが本当の自分の姿なんじゃないか”と自分を見失う要因になるでしょうね……」

 松山と石川で指摘される一番の違いは体格だ。174cm、68kgの石川に対し、松山は181cm、90kg。欧米のトッププロの中では小さく、細く見える石川に比べ、松山は彼らとも遜色のない体型をしている。

 現在の石川と松山の成績の差はこの体の差によるものではないかといわれることは多い。しかし、勝美氏は「遼には遼のゴルフがある」と話す。

 それを石川に教えるために、最近勝美氏は息子に意外なものをプレゼントしていた。森鴎外の小説『杯』だ。

 その小説は、12歳前後の7人の日本人少女と14歳ほどの外国の少女が登場する短編作品。泉で7人の少女が美しい銀の杯で水を飲んでいたところに、外国人の少女が現われる。その少女も水を飲もうと杯をとり出すが、それは日本人少女たちと比べて粗雑で小さなものだった。

 それを哀れんだ日本人少女たちは、杯を貸そうとするが、外国人少女は「私の杯は大きくはございません。でも私は自分の杯でいただきます」と拒んで、小さな杯で喉を潤すという話だ。

「遼には遼の“杯”がある。“B・ワトソンやT・ウッズ、そして松山君を真似ても意味がない。自分の器を決めてそこにフタをするのもよくないが、人をうらやましがるのはもっとよくない”と話して、この本を渡しました。遼も納得した様子でした」

 勝美氏はかつて、ジュニア時代から競ってきた2人が高校3年の時に出場した日本オープンで、プロとして出場した息子に、「(アマチュアとして出場した)松山君の方が上手だね」とはっきりいったという。

「遼には“15歳までは遼が上だったが、そこから25歳までは松山君の方が上だ。でもその先はわからない”といってあります。このあと遼が挽回して、大鵬と柏戸、王と長嶋のようなライバルとして育ってくれればいいと思う。親バカといわれそうですが、私はそういう夢を持っています」

※週刊ポスト2015年5月22日号