ミニゲームでは軽快な動きを見せていた大久保。「楽しくできました」と手応えを感じたようだ。写真:徳原隆元

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 フリーマンを置いた11対11のミニゲームでは、ベテランらしい落ち着き払ったプレーが随所に見られた。
 
 パスを受ける時、ボールの勢いを殺さないよう、トラップせずにそのまま流してサイドに持ち運び、素早い腰の回転を利してクロスを供給する。ルーズボールの処理も正確で、緩急のある動き出しでチャンスを演出する。
 
 ブラジル・ワールドカップ以来の招集となった大久保嘉人は、ハリルジャパンのサッカーについて次のように印象を語る。
 
「みんなで前に出て行くというか、厚みを持って、スピーディさと運動量でやっていく。日本人に合っているのかなという感じはしました。取ったら早く、前に行く。それで、裏に飛び出てっていう。これが試合でできれば、面白いんじゃないかと思いますね」
 
 そうしたスタイルについて、「全然、できると思う。むしろ(自分は)そっちのタイプなので。楽しくできました」と、2時間弱の練習のなかで少なからず手応えを感じているようだ。
 
 久々の代表という環境のなかで、改めて日の丸を背負って戦うことへの意欲も刺激されたという。そして代表に選ばれ続けるためには、「自分は点を取るだけ」と明快に答える。年齢的には上の立場にある以上、「他の若い選手たちよりも取らないと。(同じ結果を出したとして)どっちを選ぶかといたら、たぶん、若い選手を選ぶでしょう。だからずっと結果を出し続けないと、ここには来られないと思う」と危機感も口にする。
 
 もっとも、本人に力みはない。胸の内は熱く燃えているに違いないが、あくまでも自然体で、持てる実力と経験をピッチ上で表現していく。そんな大久保の存在は、世代交代が進むチームにとって貴重な存在でもあるはずだ。
 
「良い刺激になると思いますし、嘉人さんはプレーで引っ張ってくれるので、僕たちもそういうのを見て(大久保の能力を)引き出さないといけないし、引っ張っていってほしいです。いろんな経験をされている選手ですから」(槙野智章)
 
 今季、J1リーグで通算140ゴールを達成するなど実績十分の歴戦のストライカーが、新たな戦いに挑む。少なからず年齢的な部分を意識したコメントもあったが、その表情は若々しく、充実感に満ちていた。

取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)