「明烏 あけがらす」5月16日(土)全国ロードショー  ©2015「明烏」製作委員会

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福田雄一脚本・監督の新作映画『明烏 あけがらす』。公開に先駆け、この作品とこれまで『勇者ヨシヒコ』シリーズ、『アオイホノオ』に代表されるコメディ作品を生んできた福田監督の笑いのルーツ、そして今後のテレビへの想いについて伺いました。

【動画】映画「明烏 あけがらす」オープニング&予告編

菅田将暉、城田優ら「いいメンバー」がそろった作品

――『明烏 あけがらす』、拝見しました。私も落語が好きなので、予告編を見た時に「もしやベースになっているのはあの噺では?」と思ったんですが、最後までその流れでしたね。

福田雄一(以下「福田」):この作品は元ネタが分かってる人が見ても面白いでしょうし、落語を知らない人がストーリーを追ってもいいと思います。ただ、落語的な見方をするとより面白い作品なので、元ネタを知ってもう一度「なるほど」と思いながら見るといいんじゃないですかね。

――今作には、ムロツヨシさんや佐藤二朗さんという「福田組」の常連キャスト、ほかにもこれまで監督が手がけた舞台やドラマに出演された方が出てますね。

福田:生真面目なホスト役の若葉竜也くんとはムロくんの舞台『muro式.7』で出会ったんですが、アレがきっかけで今回の起用が決まりました。主演の菅田将暉くん、チャラいホスト役の城田優くんにも出てもらえて嬉しかったです。今回は本当にいいメンバーが集まってくれました。

小学生でコント台本を書く!? 福田雄一の笑いのルーツとは?

――ところで、福田監督の笑いのルーツを伺いたいのですが…。

福田:もともと父がお笑いが好きで。まだ家庭にビデオデッキが普及していない頃に、『8時だヨ!全員集合』と同じ時間に『オレたちひょうきん族』が始まるから、という理由で買ってしまうような人だったし、周りの人を笑わせるのも好きでしたね。

僕自身も小学生の時、お楽しみ会とかで友達とコントをしてました。僕が台本を書いて、ちゃんと稽古もして。僕らは必ずトリで、ほかのクラスの生徒も見に来るほどでした。

――小学生で、ですか。すごいですね。

福田:でもそれからしばらく経って、プロゴルファーを目指したものの、夢破れて引きこもりみたいになっちゃって。そんな時、東京の小劇場がブームというニュースを見たんです。それが楽しそうで、さっそくテレビで紹介されてた第三舞台を見に行って。「こんなに笑えるお芝居をする劇団があるんだ!」と感動して、追っかけみたいになってました。

俳優の笑いへのアプローチを見せつけられた『ココリコミラクルタイプ』

――『THE3名様』が初監督作品だそうですが、監督を手掛けるきっかけは何だったんですか?

福田:フジテレビのバラエティ番組『ココリコミラクルタイプ』です。もともと僕は芸人さんの作家をしてたんですが、当時は放送作家として『ココリコ〜』の現場でいろいろな演出方法や、松下由樹さん、八嶋智人さんなど俳優陣が生み出す笑いの凄さを見ていました。だから、同じく俳優さんで作るコメディ『THE3名様』の監督もできると思えたんです。最初がこの作品だったことはとてもラッキーでした。

――俳優さんと芸人さんの笑いの違いはどの辺にあるのでしょう。

福田:芸人さんの一番の武器はセリフです。そういう笑いも刺激的で面白いですが、『ココリコ〜』ではセリフの言い方や表情、表現方法など、俳優さんの笑いへのアプローチの多さをまざまざと見せつけられ、惹きつけられました。

今後テレビでやるべきことは「どうだ面白いだろう」というコント

――今年初めにNHKで放送された『新春TV放談2015』では「どうだ面白いだろう」というコントを見せたいと仰ってましたが…。

福田:やっぱりそういうことはテレビがやるべきだと思うんです。お笑いを一番やりやすいのはテレビですから。今は情報を詰め込んだ番組ばかりですけど、昔、『全員集合』や『ひょうきん族』を見て「これが何の役に立つの?」と思ってた人はいないはずです。つまり、テレビはお役立ちツールになってはいけないんです。「あの番組が見たい!」と思わせるものを作らなければ、テレビは必要のないものになってしまう。それは大のテレビ好きとしてもそう思います。

――確かに、今は手放しで笑える番組がなかなかありません。

福田:そうなんです。今はテレビの地位が下がっています。だから、作り手は一般の人ができないような経験をして番組を作るべきだと思っています。

「映画は一番規制が少なくて苦手」と語る福田監督。でも映画だからこそ、規制のないバカバカしさに大口を開けて笑える作品ができたのかもしれません。『明烏』は、とにかく頼りないヤツらに誰もが手放しで楽しめる映画です。

『明烏 あけがらす』5月16日(土)全国ロードショー
品川のホストクラブ「明烏」。翌日に借金の返済期限が迫ったホストのナオキ(菅田将暉)は、無事、返済金1000万円を用意できたことを祝い、同僚と宴会を開く。しかし、次の日の夕方に目を覚ますと金がない!どうやら金の工面が付いたのは夢だったらしい…。借金を返せなければナオキは東京湾に沈められる。同僚と父親、金の払えない女…誰も頼りにならない中、どうするナオキ!