ハリルホジッチ監督があっさり変えた日本代表監督の「伝統」

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日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が11日、翌12日からの国内合宿に先立って取材に応じた。今回もまた「ハリルホジッチ流」の仕事の進め方とは何かを存分に見せ、多くの報道陣を魅了した。

これまでの代表監督は、合宿初日にテレビの共同インタビュー、記者たちの囲み取材に応じ、合宿の意義と目標などについて語ってきた。

だがハリルホジッチ氏は就任直後の大分合宿から、試合前日と当日の記者会見以外、合宿中は取材に応じていない。

その不満を解消する意味もあるのだろうか。この日は狭いながらも部屋が用意され、監督は座って記者たちの質問に答えた。

監督と通訳は予定時刻より前に部屋に姿を現し、霜田正浩技術委員長以下、コーチたちスタッフも勢揃いした。一番最後に入ってきた手倉森誠コーチが監督から「少し太ったんじゃないか」とイジられるなど、フランクな雰囲気が漂っていた。

プロジェクターを使って一枚のスライドを映し出したのもハリルホジッチ流と言えるだろう。最初のメンバー発表のときのようにスライドの横に立ち、それぞれのポジションに選んだ選手と、そこで試したいことを話していく。

映し出されたスライドは緻密に計算されたものだった。それぞれのポジションに選手が並べられているが、あるポジションでは経験のある選手が上に、別のところでは若い選手が上に、と表の順番が序列出ないと強調するかのような並びになっていた。これまで手に持っていたリストが写され、流出してしまった失敗から変更されたのだろう。

監督はこれまでどおり、1つの質問にたっぷり時間を書けて答えていく。会見開始から40分近くが経ち、スタッフが質疑を終わりにしようとしたが、監督は手を挙げながら質問できなかった記者を促し、その質問にもそれまでと同じように丁寧に答えた。

監督は最後にもう一度質問がないか見渡し、立ち上がって報道陣に向かって拍手を送った。そしてゆったりとした動作で荷物をまとめて、関係者の中で一番最後に会見場を後にした。

これまでの日本代表監督は、練習後にサッとインタビューに答え、囲み取材をこなし、スタッフに言われるままにその場を去る「伝統」があった。ハリルホジッチ氏によってその「伝統」はあっさりと変更され、すべては監督の考えどおりに進んでいる。

リーグ中に開く1泊2日の合宿についても、異例中の異例だ。その例外を各クラブに認めさせ、記者たちのガス抜きをし、そして選手たちを集めて自分の手のひらで試してみる。いつの間にか「ハリルホジッチの流儀」に周囲は巻き込まれ、期待を持って監督の言う「野心」を見つめるようになっている。

【日本蹴球合同会社/森雅史】