大手外食チェーンが“非常事態”に陥るなか、業績好調な「大戸屋」

写真拡大

復調の兆しが見えない「マクドナルド」、2015年3月期に大赤字(102億円)に転落した「すき家」、身売り話が飛び交う「かっぱ寿司」など、大手外食チェーンが“非常事態”に陥るなか、定食チェーンの「大戸屋」が好調だ。

大戸屋ホールディングスの14年3月期の売上高は前年比13.9%増、経常利益は同76.9%増で、過去最高を記録。その後も、前年同月比の売上高で約5〜14%増の成長をキープしている。店舗数は今年3月末時点で414店舗(国内328店舗、海外86店舗)。今期中に450店舗ほどまで増やす計画だという。

業界誌編集長のA氏が話す。

「大戸屋の客層は大学生からサラリーマン、OL、ファミリー、シニア世代と実に幅広い。なかでもほかの外食チェーンと一線を画すのは女性のひとり客が多いところ。“女性にモテる店”は繁盛します」

大戸屋があらゆる世代から支持される理由について、外食事情に詳しい食品安全教育研究所の河岸宏和氏が話す。

「単純に、メシがうまいからです。ほかの大手外食チェーンはコスト削減を優先し、セントラルキッチンで大量加工した食品を店舗で温めて提供する。一方、大戸屋は料理の品質を重視し、セントラルキッチンを持たずに店内調理にこだわる。豆腐も北海道産の大豆、トヨマサリを100%使用した豆乳とオホーツク海の天然にがりを使用し、厨房で作るくらいですから」

また、大戸屋はタイ(47店)や台湾(22店)などアジアを中心に86店舗を展開し、海外事業も成功させている。その手法について、企業の海外進出支援の専門家であるエッグフォワード株式会社の徳谷智史代表がこう語る。

「大戸屋の海外展開は非常にユニーク。まず、進出先のパートナー企業と合弁会社をつくるんですね。例えばタイでは、食品供給会社と手を組んで食材を供給してもらい、出店力の強い大手不動産会社とも提携して店舗開発を進める。こうして役割分担を明確にした上で、大戸屋は店舗運営に専念します。

ここまではよくある話ですが、大戸屋の場合、事業を軌道に乗せると、株式をすべて不動産会社に売却し、完全フランチャイズ(FC)に切り替えるんです。儲かっている直営事業を手放すなんて、そう簡単にできる決断ではありません。大戸屋はこれで投資額を大きく上回る売却益を得ているので、プロの投資ファンドも顔負けです」

大戸屋はそれを原資にほかのアジア諸国に進出。和食ブームも後押しし、海外でも繁盛店を増やしているという。

おいしさにこだわった店作りと、投資ファンド並みの事業展開のうまさ。このふたつを併せ持った大戸屋の好調ぶりは、まだまだ続きそうだ。

(取材・文/興山英雄 撮影/下城英悟)

●この記事の全文は発売中の『週刊プレイボーイ』21号にてお読みいただけます!

■週刊プレイボーイ21号「大戸屋は本当にスゴいのか?」より