2つ目のタイトルは第5のメジャー 開幕前の評価を覆した(撮影:岩本芳弘)

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 “第5のメジャー”と呼ばれる「ザ・プレーヤーズ選手権」はプレーオフの末、リッキー・ファウラーの勝利で幕を閉じた。最終日の終盤4ホールで一気に5つスコアを伸ばしたファウラーの猛追もプレーオフでの戦いぶりも見事だったが、何より見事だったのは、「最も勝つべきとき」にメンタル面の葛藤を克服して勝ったことだ。

 開幕前、米ゴルフ雑誌等が選手を対象に行った調査で、「最も過大評価されている選手」の筆頭に挙げられてしまったのが、イアン・ポールターと並んで24%の票を獲得してしまったファウラーだった。
 ファウラーもポールターもファッショナブルな選手だし、人気や注目度も高いため、そのあたりに対する他選手たちからのジェラシーが多少なりとも含まれていたことは想像に難くない。だが、高い人気を誇る一方で、その人気に見合う成績を出しているかと問われると、2012年の「ウエルズ・ファーゴ選手権」を制しただけだったファウラーの米ツアー1勝は「少なすぎる」と言われるのも、ある意味、頷けた。
 26歳のファウラーの米ツアー1勝は、もちろん決して悪い成績ではなかった。それどころか、昨年のメジャー4大会すべてにおいてトップ5に食い込んだ成績は、言うまでもなく立派なものだった。
 しかし、勝利こそがすべてだという考え方をする選手たちにしてみれば、ファウラーの「高い人気」と「わずか1勝」は不釣合いに感じられたのかもしれない。その結果、彼は「最も過大評価されている選手」の筆頭に挙げられてしまった。
 うれしくもありがたくもない屈辱的な調査結果。ファウラー自身、公けには「そんな結果は気にしていない。僕は僕。それ以上でも以下でもない。僕はポスターボーイになろうとしているわけじゃない」とコメントしていたが、親しい人々やコーチのブッチ・ハーモンには、調査結果が「気になって集中できない」とこぼしていたそうだ。
 しかし、途中から自力で気持ちを切り替えた。「あの調査結果を逆利用してやる。心の火を燃やしてやる」。腹立たしい調査結果をモチベーションに変えて活用しようと心に決めたファウラー。最終日の猛追とプレーオフを制したあのエネルギーの源は、そうやって生まれたのだとファウラーは振り返った。
 勝って、悔しさを吹き飛ばしたい。勝って、いろいろ言った人々の口をふさぎたい。そう思ったときに、本当にそこでタイミングよく勝つのは大変なこと。このビッグ大会でそれができた心の糧は、調査結果に対する悔しさだったが、それができたゴルフの糧は、昨年のメジャー4大会をはじめとする数々の惜敗経験だった。
 「これまで、僕はいつも米ツアーでたった1勝しかしていない選手という具合に見られてきた。それを変えたくて、たくさん優勝争いに絡んできた。でも、いつもラストグリーンで勝利を噛みしめながら立ちつくすラストマンになれずに来た」
 あの調査結果を知って、この試合で最も勝ってほしい選手の筆頭にファウラーを挙げていた人は多かったかもしれない。ファウラーに同伴していた母親や彼女、ユタカという名の日本人の祖父をはじめとする家族、そして誰よりファウラー自身が「今週こそ、勝つべきときだ」と強く思っていたはず。
 そう、今日こそ、あなたがラストマン。ファウラーは「第5のメジャー」にふさわしいビッグな勝ちっぷりを披露し、高い人気と注目度にふさわしい米ツアー2勝のビッグな選手になった。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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