現物の買いと信用の売りを同じ価格にするために、権利付き最終売買日の寄付(よりつき)で買うのが一般的。

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「権利落ちの値下がりリスクを抑えつつ、株主優待を手に入れられる方法」として、主要ネット証券5社のすべてのサイトに掲載されている「つなぎ売り」という手法。株主優待の投資をしている人には非常に気になる方法だが、どんな取引なのだろうか。具体的なやり方や注意点などを見ていこう。

「つなぎ売り」
=「現物の買い」+「信用の売り」→「現渡し」

 ネット証券大手5社(SBI証券、カブドットコム証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券)のサイトでは、いずれも信用取引の活用法のひとつとして「つなぎ売り」を紹介している。

 「つなぎ売り」の説明に入る前に、まずは株主優待投資の超基本である「権利確定日」「権利付き最終売買日」「権利落ち日」の意味と関係を、ザッと復習しておこう。

 「権利確定日」は、文字通り株主の権利が確定する日。この日までに株主になっていれば、株主優待や配当が受け取れる。ただ、手続きの都合上、権利日に株主になるためには3営業日前の「権利付き最終売買日」までに株を買っておくことが必須。そして、最終売買日の翌営業日が「権利落ち日」。権利落ち日に買っても、株主優待や配当はもらえないため、この日になると株主優待や配当分程度、株価がガクっと下落することが多い。

 さて、「つなぎ売り」は別名「クロス取引」とも呼ばれる取引手法で、権利落ち後の株価の下落リスクを避けて株主優待だけを獲得できることから、以前からコアな株主優待の投資家には知られていた。

 そもそも、株主優待や配当のある銘柄は、株主優待や配当の権利付き最終売買日の翌日になると、株価がガクッと下がることが多い。ときには、株主優待や配当の分を超えて下落することもある。値下がりは一時的で、その後再上昇する場合も少なくないが、「権利を取ったらできるだけ早く売って、ほかの銘柄を買いたい」という場合などもあるだろう。

 「つなぎ売り」を利用すれば、株主優待の権利を取ったら値動きを気にせずに、すぐ売却することが可能になる。しかも、やり方自体は、意外なほどカンタンだ。株主優待獲得のために、権利付き最終売買日より前に現物取引で必要な単元数を買い、同じ値段で信用取引で同じ単元数を空売りする。あとは、翌日に優待権利獲得後に「現渡し」の方法で2つの取引を終了するだけ!


 これで、株主優待を獲得する権利が手に入り、現物売りのマイナス分と信用売りのプラス分で損益が相殺されることで、株価の値下がりリスクも避けられる。ちなみに、配当のある銘柄では、信用取引の売り建てで権利日を持ち越すと、配当相当分が引かれてしまう。現物の買いでもらえる配当は、信用の売りで相殺されるため、配当は実質的には受け取れない。

「つなぎ売り」は、
できる銘柄とできない銘柄がある!

 しかし、すべての株主の優待の銘柄でこの「つなぎ売り」の手法を使えるわけではない。理由は、信用取引で空売りができない銘柄があるため。空売りができるのは、‖濕斂段舛忙慊蠅気譴討い詭段繊↓一般信用取引で売り建て可能な銘柄となっている。

 このうち、,砲弔い討肋攘取引所で一律に決めているため証券会社による取扱い銘柄の差はない。一方、△魄靴辰討い襪里麓舁廛優奪半攘瑤任蓮SBI証券、カブドットコム証券、松井証券の3社のみ。どの銘柄を扱っているかなどは、各社で異なっている。

◆一般信用売りができるネット証券の例 【2015年4月時点】
売建可能銘柄数 ※
一般信用売り
の貸株料(年利)
口座開設
長期 短期
カブドットコム証券
1338銘柄 882銘柄 1.5%(長期)
3.9%(短期)
松井証券
785銘柄 2.00%
SBI証券
53銘柄 3.90%(短期のみ)
※優待実施銘柄以外も含む ・2015年4月15日時点

 一般信用で売り建て可能な銘柄数が圧倒的に多いのは、カブドットコム証券だ。

◆カブドットコム証券【証券情報⇒カブドットコム券の紹介ページ】
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【関連記事】お宝銘柄をニュースに先んじて買う方法があった!【カブドットコム証券】「kabuステーション」を使え

 たとえば、5月の優待銘柄では、イーサポートリンク(2493)やニイタカ(4465)は貸借銘柄ではないため、通常は「つなぎ売り」の手法が使えない。しかし、カブドットコム証券でなら、一般信用売りが可能なため「つなぎ売り」ができる。

 扱い銘柄数が3社の中で最も少ないSBI証券は、今年に入ってから一般信用銘柄の売り建てのサービス提供を開始。今後は長期の売り建ても可能になる予定で、そうなれば扱い銘柄数が増えることが期待される。

 なお、SBI証券と松井証券では売り建てたその日のうちに返済するタイプの一般信用売りも扱っているが、当日返済では「つなぎ売り」に使えないため、今回は触れていない。

「つなぎ売り」にトライする前に、
絶対に知っておくべき注意点とは?

 ここからは、「つなぎ売り」で注意すべきポイントについて説明しよう。

 手順自体がカンタンなのはすでに説明した通りだが、仕組みをよく理解しておかないと、値下がりリスクは避けられても「株主優待金額以上の費用」が発生してトータルでは損をしてしまうことがあるからだ。

 信用取引で空売りをすると、通常の取引手数料に加えて「貸株料」と呼ばれる株の借り賃が必要になる。しかし、コストはそれだけとは限らない。前述の(1)貸借銘柄の場合は、空売りが増えすぎると通常の「貸株料」だけでなく、「逆日歩」(正式名称は品貸料)と呼ばれる追加の「株のレンタル料」がかかることがあるのだ。

 「逆日歩」は、発生するときとしないときがあり、さらに発生しても金額が少なくて済むこともある。だが、ときには優待金額を上回ってしまうこともあるため、貸借銘柄で「つなぎ売り」をする際には、「逆日歩」に気を配っておくことは必須と言える。

 逆日歩がつくかつかないかは、正式には最終売買日の翌日にならないとわからない。とはいえ、次の3点を押さえておくことで、ある程度は「逆日歩リスク」の高い銘柄は避けることができるだろう。

1.最終売買日直前に「信用売残」が「信用買残」を大幅に上回っている銘柄は避ける

2.高額逆日歩が付きやすい「貸株注意喚起」が出ている銘柄は避ける

3.過去にたびたび高額逆日歩がついた銘柄はできれば避ける

 1と2はネット証券サイトの銘柄情報ページで確認できる。3については、自分で「銘柄名」「高額逆日歩」「○月権利」といったキーワードを組み合わせて検索すれば、過去の高額逆日歩銘柄が見つかる可能性がある。

 また、カレンダーによって逆日歩がかかる日数は変わる。逆日歩が多くかかる月は「つなぎ売り」を行なわないのもリスクを避ける有効な方法と言える。


 一方、(2)の一般信用取引で売り建て可能な銘柄の場合は、仕組みが異なるため、逆日歩は一切発生しない。そこで、(1)と(2)の両方で取引できる銘柄(=貸借銘柄で、かつ一般信用の空売りも可能な銘柄)では、一般信用売りのほうで「つなぎ売り」を行なえば安心だ。

 ただし、一般信用取引で空売り可能な銘柄の場合、扱っているネット証券ごとに取引できる数に限りがある。売り切れ(=売建禁止)になると「つなぎ売り」ができないので、残りの数をチェックしつつ、最終売買日よりかなり早めに取引するといった対策が必要になる場合もあるだろう。

 …と、注意点もいろいろある「つなぎ売り」だが、上手に使えば株主優待ライフがもっと充実する可能性大。各社のサイトの情報なども参考に、興味があればしっかり理解した上でぜひトライしてみては?

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