衣類のクリーニング付き保管サービスは定着するか

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 今年は4月まで肌寒い日が多かったせいか、ゴールデンウィーク明けになってようやく冬物衣料のクリーニングや収納をまとめてやろうとしている人もいるだろう。特に家族の多い主婦にとって「衣替え」は一仕事だが、そんな労力を省いてくれる新しいサービスが人気だ。

「ダウンジャケットやコート、セーターなど厚手の衣類をクリーニングしたうえで、また寒くなる時期まで保管してくれるサービスがあり、今年から利用することにしました。

 6着預けて1着あたり1000円ちょっとなので、普通にクリーニングに出す値段と変わらないですし、何よりもかさばる衣類を収納する場所を考えなくていいので助かります」(神奈川県在住40代主婦)

 彼女が依頼することにしたのは、イオングループの「カジタク(東京・中央区)」が店頭やインターネット上で行っている家事代行サービスのひとつだ。手続きは申し込みキットに入っている回収袋に衣類を詰め、着払いの宅配便で送るだけ。その後、衣類はきれいにクリーニングされ、最長9か月間預かってもらえる。

 イオン以外でも同様のサービスを提供する業者は多い。

 クリーニング会社の「喜久屋(東京・足立区)」や、大手通信販売会社の「千趣会(大阪・北区)」でも衣類のほか、靴や布団など預かり品を増やすことで、消費者の片づけニーズに細かく応えている。温度や湿度に配慮した専用倉庫で保管するため、「梅雨時期など防虫・防カビの心配がいらない」(前出の主婦)のも利点だ。

 いわば保管料は無料のクリーニングサービスを手掛ける業者が増えている背景には、クリーニングビジネス自体が大きな「転換期」を迎えていることと無関係ではないだろう。消費生活アドバイザーの和田由貴さんがいう。

「いまはスーツでも洗濯機で丸洗いできる素材のものが多いですし、街中のクリーニング店は衣類を出しに行ったり持ち帰ったりと手間がかかるため、消費者の利用機会はだんだん減っています。

 その一方で、私もよく利用しているのがネット型の宅配クリーニングです。注文から預け入れ、仕上がりまで自宅に居ながら宅配業者がしてくれるので忙しいときに便利なのはもちろん、値段が店舗型より断然安いのが魅力です。

 たとえば、高額な着物のクリーニングでも店舗で1着6000円以上するものが、ネットなら2000円以下でやってくれる中小の業者もあります。今後はこうしたネット型が主流になり、価格競争は一層激しくなっていくでしょうね」

 和田さんの指摘する通り、1世帯あたりのクリーニング支出額は月7164円で、10年前と比べて約3割減ったとのデータがある(2014年総務省調べ)。ファストファッションに代表される、“着捨て服”の普及もクリーニング需要の低下を招いているのかもしれない。

 こうしてみると、保管付きクリーニングは、業者の生き残りをかけた付加価値サービスの一環といえる。利便性が高まることは消費者にとってはありがたいことだろう。

 さて、冬物衣料の預け入れを決めた前出の主婦は、こんな不安を口にする。

「自宅のクローゼットにごっそりと空きができた分、冬までに衣類が増えて、いざ戻ってきたら収納する場所がないということにならなければいいですが……」

 いくら衣替えの手間が省けても、普段から“断捨離”の意識は持ち続けたいところだ。