グループに分かれて、ひたすらにブレストを行うことから開始

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先日、ジュエリー企業のラッキー商会と本学(昭和女子大学)でコラボ商品の開発を行い、Amazon.comでの販売を開始した。女子大生がもらってうれしいジュエリー、あるいは誰かにあげたいジュエリーなど、女子大生を商品の受け取り手、あるいは購入顧客とした場合、どのような商品が好まれるかという観点で商品を作りましょうということで、まずは女子大生がもらってうれしいネックレスの開発となったわけだ。

「プレゼントにもらってうれしいネックレス」を共同開発

 通常であれば、潜在顧客に対するヒアリングを行えばよい。グループインタビューなどで、普段使っているや今後どんなジュエリーが欲しいかを聞けばいいわけだ。飲食品など、他の商品でも同様のアプローチは山ほど取られていると思う。しかし、グループインタビューも実は簡単ではない。

 もし普通にどんなジュエリーが欲しいかと女子大生に聞くと、「やっぱティファニーでしょ」なんて反応になる。そりゃ、誰だってティファニーの商品は欲しい。もちろん、もらう機会や相手など具体的な場面を想定させた上でグループインタビューは行うのであるが、どうしてもややフワフワした感じで話が進んでしまうのが難点だ。しかし、新商品の共同開発という位置づけになると真剣度、現実感が大きく異なる。ここが狙いだ。

 今回のコラボでは、とっかかりとして、ホワイトデーにお返しとして欲しいネックレスを共同開発する、という設定で行った。クリスマスや誕生日ではなく、もうちょっとカジュアルな場面での贈り物、あるいは、何かのお返しやお礼に贈るいわばサンクスジュエリー的な位置づけである。

 ホワイトデーのお返しの場合、その贈り主は様々だ。一番想定できるのか彼氏。これは当然であろう。そして、意外と多かったのがお父さんという答え。昨今の女子大生はキチンと父親にバレンタインデーのチョコレートを渡しており、そして、父親もお返しをしていると言うのだ。そして、友チョコの延長としてのお友達からのお返しなどもある。

もらったものの値段をネットで検索する女子大生たち

 まずは価格からだ。当初、ラッキー商会側から5000円という仮置きの価格を提示してもらった上で、いくらの値段が適正かという議論を行った。

 さて、ここで男性の読者の皆さんには自分自身がこれまでにホワイトデーでお返しに渡したモノを思い出していただきたい。実は、私はほとんど思い返すことができなかった。「え?これまで何もあげていないのか?いやいや、そんな薄情なはずはない。でも、何も思い返せないのはどういうことだ?」と自問自答をするが、思い浮かんでこないのだ。

 可能性としては、何かおいしい食事をご馳走することで代替しているということもあろうが、いかに自分がホワイトデーを流してきたかを実感する羽目となった。

 そんな状況なので、5000円と聞いて値段としては十分すぎるであろうと思っていた。しかし、女子大生たちの反応は違った。

「安すぎる」
「5000円のネックレスなんて高校生でしょ」
「その値段のものは自分でも普通に買える」

 口々に5000円に対する不評コメントが出てきた。「おいおい、ちょっと待て。安いと言うなら、いったいあなたたちはいくらほどのものをバレンタインデーに贈っているのさ」と聞いてみると、「女子はとにかく何かをあげればいいんです!」、「手作りにした場合、実はけっこうな値段がかかるし、労力はハンパない」など、火に油を注ぐような返り討ちを浴びることとなった。日頃、彼女たちがホワイトデーにきちんとしたお礼をされていないことの反動なのかもしれない。

 では、5000円ではなくて、いくらなら適正価格なのか、と聞いてみると、「1万円は欲しい」「いや、でも、実際のところ、彼氏でもお父さんでも1万円も負担させるのは悪い」「うん、確かにそうよね」などの会話が始まる。結局、7500円や8000円程度がいいだろうということになった。5000円じゃ安いと大騒ぎした割には、さほど高額な値段にはならなかったので、ややこちらは拍子抜けである。

 そこでまた聞いてみた。「あのー。5000円のネックレスと8000円のネックレス、見た目で違い分かるの?」。すると、見た目では分からないかもしれないけど、もらったものの値段は必ずネットで調べる、とのこと。「検索して、5000円って分かるとちょっとがっかりする」、と言うのだ。

 見た目で違いがあまりないなら、どちらでもいいような気もするが、値段イコールお礼度合い、気持ち度合いという面を重視しているのであろう。女心は難しい。

 その後も、「大学生のくせに5000円のネックレスでは安いだなんて、生意気だ」と私がブツブツ言っていると、「5000円が安いと言っているんじゃないんです。他のモノなら5000円でも十分だと思いますが、ネックレスだと5000円ではちょっと・・・と言っているのです。せっかく彼氏やお父さんにもらうものならキチンと身につけたいじゃないですか。5000円のネックレスならすでに自分たちでも持ってしまっているんです」とのこと。それで、こちらもようやく納得した。

 この値段の議論に関して、ラッキー商会の望月社長は喜んでいた。こういう展開になることをある程度想定したうえで5000円という価格を提示したようで、確認したかったことが確認できたようである。結局、値段は、その後決まる原材料の価格との兼ね合いにもなるが、7000円〜8000円程度にしようということになった。

 値決めをする際、販売するものが決まっていれば、原価が分かるので、そこに営業費用と利益を上乗せすればほぼ自動的に売値は固まる。しかし、今回のようにコンセプトや場面から贈り物を考える場合、ある程度の値段レンジを決めてから、その枠内で製造可能なものを煮詰めるというアプローチが有効であろう。

 実際、彼女たちの議論を聞いていると、今回のような値ごろ感のあるネックレスの場合、何をもらうかよりも、8000円程度という値段が一番重要なのであり、その意味では、先に値決めをすることが有効である。

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