日本女子ツアーの今季メジャー第1弾、ワールドレディスチャンピオンシップ・サロンパスカップが5月7日(〜10日/茨城県)に開幕する。

 会場は、例年どおり林間コースの茨城ゴルフ倶楽部。ただし今年は、これまで行なわれてきた西コースから、東コースに舞台が変わる。その分、距離は若干短くなって、6550ヤードのパー72(昨年は6630ヤード)となるが、高速かつ傾斜のきつい砲台グリーンは、変わらぬ難しさ。選手たちが最も苦労する"難所"になるかもしれない。

 そうした厳しい条件の中、まず求められるのは、精度の高いアイアンショット。難関となる砲台グリーンに対して、パー4なら2打目、パー5なら3打目で、狙いどころにピンポイントで落とす技術が必要になるからだ。テレビ解説などでお馴染みの森口祐子プロも、「セカンド、もしくはサードショットで、どれだけいい位置に落とせるかが、勝敗のカギを握る」と語る。

 そして、そのアイアンショットの精度をより高め、グリーン上にピタッと止めるためには、できるだけ高い球を打てるショートアイアンで勝負したいところ。とすれば、当然、ティーショットでの飛距離がモノを言うことになるだろう。距離が短くなったと言っても、女子ツアーの中では長いコースの部類。ロングヒーターが有利なのは間違いない。

 そこで、それらのポイントを踏まえつつ、選手個々の持ち味や今季の調子などを加味して、今大会で優勝争いに絡んできそうな注目選手を、前出の森口プロに挙げてもらった。

 最初に「飛距離がある分、メリットが大きい」として、3人の選手の名前が挙がった。連覇を狙う成田美寿々(22歳)をはじめ、ヤマハレディース(4月2日〜5日/静岡県)で優勝した、身長172cmの大型プレイヤー・渡邉彩香(21歳)、そして昨季の賞金ランキング2位で、開幕戦のダイキンオーキッドレディス(3月6日〜8日/沖縄県)を制したテレサ・ルー(27歳/台湾)。それぞれ、女子ゴルフ界きっての「飛ばし屋」であり、3選手とも今季すでに1勝を挙げて好調だ。

 なかでも、森口プロが注目しているのは、成田だ。飛距離がありながら、パーオン率3位(5月5日現在)と、アイアンの精度も高い。加えて、今季は「サンデー・成田」と言われるほど、最終日に大きくスコアを伸ばしてくる戦いぶりに目をひかれると言う。

「私がテレビ解説をしたフジサンケイレディス(4月24日〜26日/静岡県)で、初日の成田さんはショットの調子がよくなかったんです。それが、2日目、最終日と、試合が進むにつれてよくなっていった。もともとの能力に加えて、こうした修正能力を身につけてきたことは、かなり大きいと思います。昨年も、最終日に5つスコアを伸ばして、2打差を逆転しました。そういう戦い方がメジャーでできるというのが、彼女の強みですね」

 メジャーという大舞台では、想像以上にプレッシャーがかかる。タイトルが目前にチラつけばなおさらで、わずかなリードを守り切って勝つのは相当難しい。その点、成田のような追い上げが得意なプレイヤーは、メンタル面でも優位に立てる。今大会に向けて万全の態勢を整えて、連覇に意欲を見せる成田が、優勝候補の最右翼と言ったところか。

「テレサ・ルーさんも、飛距離は成田さん以上。そのうえ、平均ストローク1位、パーセーブ率1位と、総合力では現在の女子選手の中でピカイチ。かなり優勝に近い存在だと思います。渡邉さんは、100ヤード以内の精度に課題があります。それがちょっと気になりますが、(同じ4日間大会の)ヤマハレディースで優勝したときのように、最後まで集中力が持続できれば面白いですよ。チャンスはあると思います」(森口プロ)

 とはいえ、ゴルフは飛べばいいというものではない。特にメジャー大会で重要視されるのは、メンタル面である。スコアが伸びない"我慢比べ"の様相が強くなった場合は、より安定感のあるショットメーカーが浮上する。そこで、森口プロが推奨するのは、今季ツアー初優勝を飾って勢いに乗る菊地絵理香(26歳)と藤田光里(20歳)だ。

「ショットの安定感という点では、菊地さん。今季は群を抜いて安定していると思います。先日のサイバーエージェントレディス(5月1日〜3日/千葉県)でも2位と好調を持続しているのも、プラス材料になりますね。

 一方、藤田さんも、ショットの精度が高く、キレがある。激戦となったフジサンケイレディスでも最後まで崩れずに、粘り勝ちを収めました。あのときと同じような戦い方ができれば楽しみ。ふたりはまったくタイプが違いますけど、今季2勝以上挙げる実力の持ち主だと思っています」

 さらに森口プロは、現在メルセデス・ランキング(※)1位のイ・ボミ(26歳/韓国)も「怖い存在」だと言う。
※日本女子ツアーの各大会での順位や出場ラウンド数をポイントに換算し、年間を通じての総合的な活躍度を評価するランキング。

「イ・ボミさんは、アクサレディス(3月27日〜29日/宮崎県)からフジサンケイレディスまで4週連続2位。優勝には何かが足りないのかもしれないけれども、その何かを埋めることができれば、優勝争いに絡んでくるでしょうね」

 また、「混戦になれば、侮れない」と森口プロが推すのが、米ツアーから一時帰国して参戦する宮里藍(29歳)。昨季から今ひとつの状態にあるものの、今大会で再浮上のきっかけをつかむのではないか、と見ているようだ。

「今季の宮里さんは、昨季よりも飛距離が伸びています。それに、不調の原因となっていたパッティングも、いい頃の感じに戻ってきている。日本のファンの、宮里さんに対する期待と声援は特別なものがありますし、そういうモノを力に変えられるのが、宮里さん。十分に期待できます」

 最後にもうひとり、森口プロが「気になる存在」と言って、名前を挙げた選手がいる。フジサンケイレディスで、あと一歩で優勝を逃した松森彩夏(20歳)だ。

「とにかくスイングがいいんですよ。同じ江連忠コーチに習っていた上田桃子さん(28歳)と似ていて、バランスがすごくいいし、体の使い方に無理がない。アグレッシブなスタイルがメジャーでどこまで通じるかわかりませんが、楽しみな存在です」

 今季も激戦の日本女子ツアー。ここまで9試合を消化して、すべて優勝者が違うというのが、その熾烈さを物語っている。はたして、今季最初のメジャーを制すのは誰か――思わぬヒロインの躍進があってもおかしくない。白熱の戦いに注目である。

古屋雅章●文 text by furuya Masaaki