怪獣の唇にドキッ!? ウルトラマンの特撮美術展は女子も楽しめる
「成田亨 美術/特撮/怪獣」が、青森県立美術館で5月31日まで開催中です。

 成田亨は、ウルトラマンやピグモンなどの怪獣デザインをした人物。この展覧会もウルトラマンを見て育った人たちには我慢たまらない企画展でしょう。

 特撮、まったく詳しくないんだけど大丈夫かしらん……。会場には少年の目をしたおっさんたちが、はあはあ言いながら展示ケースに張り付いてるんでしょ? などと先入観たっぷりだったわけです。

 ところがどっこい、少年の目をした大人のお友達は見当たらなかったどころか、自分が少女のような目をしてキラキラ展示に見入ってしまいました。なにこれ、超楽しい……!

◆原画から未発表作品まで ファンタジー世界に浸れる

⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=256525

 会場には、彫刻、デザイン、油絵から撮影セットの模型まで展示されています。内容も、怪獣デザインを手がけた「ウルトラマン」のデザイン原画のほか、幻の特撮作品といわれる「突撃!ヒューマン」の関連資料、さらには実現しなかった企画や未発表の怪獣までもりだくさん。これだけあれば、どれかは自分の琴線に響く展示がありそうですね。

 個人的には怪獣デザインの発想を描きとめたスケッチブックがおもしろかったです。

 ネタ元の切り抜きと、デザインした怪獣が同じページに描かれています。それを見ていると、発想の元になったのは、身近にあるものや、本や雑誌で見かけたものだったらしいのです。ネイティブアメリカンの衣装をモチーフにした怪獣もいたりして、「成田亨にはネイティブアメリカンが怪獣に見えていたのかも……?」と思うと感慨深いです。

 それから、展示を見ていて気付いたことがあります。彼の描く宇宙人やモンスターたちの唇は、ふっくらとやわらかそうなんです。つやつやと光っているものもあり、これは……まるで女子のグロスを塗った唇みたいじゃないですか。なるほど、確かにこれは可愛いですよ! ふっくら唇に悪いやつはいないという法則ですかね。

 また、予想外だったのは、ドラゴンやドワーフといったモンスターの画。まるでファンタジー小説の挿絵を見てるみたい。またトイ面にはずらり鬼やら仏像のデザイン画が並んでいます。これらは日本昔話の絵本を見ている気分です。

 学芸員の工藤健志氏によると、和洋問わず異形のものを一堂に会した展示は珍しいのだそうです。総数なんと160点。うん、ここだけでもかなりお得な気がします。

 成田亨は、モンスターや鬼、仏像といった神話伝承のキャラクターをとにかくたくさん描いていたのです。そうして研究したからこそ、怪獣デザインの第一人者になったのでしょう。人がどういうことに恐怖を感じて、なにに可愛いと思うのかをきっちり理解していたのかもしれませんね。

◆奇妙なセットも カメラを通すとリアルに!

 また別の部屋では、特撮美術監督として作ったセットも再現しています。実物を見ると、ビルは歪んでいるし、家は板に簡単に書いただけだし、板がむき出しになっているところさえあります。

 一見、「これでいいの?」と思う奇妙なセット。でもセット手前に設置してあるカメラのファインダーを通すと、うわっリアル! 驚きです。本物のようです。これは、印刷されたカタログでは表現できないでしょう。

 3Dが2Dに変わるとどう見えるのかを実際に体験できる、いい機会です。なんども部屋にやってきてはカメラをずらしてセットを映してました。いや〜、これはすごい!

 特撮ファンというと、男性が多いイメージがありました。その展覧会といえば、やっぱり男性向けなんじゃないかしらんと思っていたんですが、なんのなんの。仏像女子やファンタジー女子、もちろん特撮女子も美大生も、漫画家志望の女子も、みんなどんと来いの展覧会でした。意外と女子こそ楽しめそうです。

 青森のご飯は新鮮で安くておいしいし、女子旅にうってつけかもしれません。5月の予定がまだ決まっていない方、青森県立美術館はいかがでしょう?

<TEXT,PHOTO/和久井香菜子>

●青森美術館「成田亨 美術 / 特撮 / 怪獣」HPはこちら⇒http://www.aomori-museum.jp/ja/exhibition/67/

【成田亨さんプロフィール】
なりた・とおる。1929年生まれ、青森県出身。芸術家。現武蔵野美術大学を卒業し、美術スタッフとして各映画会社の特撮作品に関わった。数々の怪獣デザインや美術作品を残し、2002年2月26日死去。