フィンランド発のスタートアップの祭典「SLUSH」が日本にやってきた!

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フィンランドで毎年11月に行われる、北欧最大級のスタートアップイヴェント「SLUSH」。その初めてのアジア版を開催する場所として彼らが選んだのは、東京だった。日本にやってきた「スタートアップの祭典」の様子をレポートしよう。

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2/12「ホワイトロック」と呼ばれる5つのドームがお台場に出現。

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3/12C Channelの森川亮に続き、1日の始まりを飾ったDeNA創業者・南場智子。ユーモアのあるプレゼンテーションで会場を魅了した。

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4/12「日本はすでに世界一のクリエイティヴィティをもっている」と、IDEOの共同経営者トム・ケリー。

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5/12アート×サイエンスのテーマで話した、バイオアーティストの福原志保とメディアアーティストの落合陽一。

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6/12登山家としての挑戦の人生を語った栗城史多。

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7/12キーノートステージのトリを務めた『Hello Ruby』制作者リンダ・リウカス。

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8/12「SLUSH CAFE」では、スピーチを終えたばかりの登壇者が観客の質問に答えた。一般の参加者に混じってトム・ケリーの姿も!

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9/12デモエリアでは企業が自らの製品を出展。写真は「exiii」が開発する、利用者の神経と筋肉の動きをスマートフォンで動きに変換するバイオニック義手。

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10/12出入口はインスタレーション空間となっており、来場者の好奇心をくすぐる。

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11/12お祭りのように、会場には屋台が並んだ。

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12/12「SLUSH CAFE」のボードには、キーノートステージの登壇者がメッセージを残していった。

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まるでコンサートライヴのような雰囲気のメイン会場。

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「ホワイトロック」と呼ばれる5つのドームがお台場に出現。

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C Channelの森川亮に続き、1日の始まりを飾ったDeNA創業者・南場智子。ユーモアのあるプレゼンテーションで会場を魅了した。

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「日本はすでに世界一のクリエイティヴィティをもっている」と、IDEOの共同経営者トム・ケリー。

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アート×サイエンスのテーマで話した、バイオアーティストの福原志保とメディアアーティストの落合陽一。

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登山家としての挑戦の人生を語った栗城史多。

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キーノートステージのトリを務めた『Hello Ruby』制作者リンダ・リウカス。

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「SLUSH CAFE」では、スピーチを終えたばかりの登壇者が観客の質問に答えた。一般の参加者に混じってトム・ケリーの姿も!

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デモエリアでは企業が自らの製品を出展。写真は「exiii」が開発する、利用者の神経と筋肉の動きをスマートフォンで動きに変換するバイオニック義手。

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出入口はインスタレーション空間となっており、来場者の好奇心をくすぐる。

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お祭りのように、会場には屋台が並んだ。

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「SLUSH CAFE」のボードには、キーノートステージの登壇者がメッセージを残していった。

去る4月24日、気持よく晴れた春のお台場に、5つの巨大な白いドームが現れた。そのエリアには黒いTシャツを着た人々と、多くの外国人。ドームの中からはアップテンポな音楽が聴こえ、屋外に並んだ屋台の側ではビールを飲む人々の姿も見える。ちなみにその日1日、そこでの公用語は英語である。

彼らがみな首から下げている黒いタグにはこう書かれている──「SLUSH ASIA」。フィンランド発のスタートアップイヴェント「SLUSH」のアジア版が、日本で初開催されたのだ。

北欧のシリコンヴァレー

フィンランドのヘルシンキでSLUSHが初めて行われたのは、2008年。はじめは200人ほどの若き起業家やイノヴェイターたちの、内輪の集まりから始まったイヴェントだったという。それが回を重ねるごとに規模を大きくし、2014年には78カ国から1,300の企業と14,000人以上の参加者が集う巨大ムーヴメントになるほど成長することになる。

SLUSHの最大の特徴は、スタートアップをポップカルチャーに変えたことだろう。イヴェント空間は派手なライティングと音楽でコンサート会場のように演出され、起業家のスピーチやピッチのたびに大きな歓声が湧き上がる。そんなSLUSH独特のスタイルによって、フィンランドでは起業家を新しいスターと位置づける価値観が生まれているという。

人々のマインドの変化は、かつては大企業志向が強かったフィンランドを「スタートアップの国」に変えつつある。長い間ノキアに続くグローバル・カンパニーが出てこなかった同国では、「アングリーバード」で知られるRovio EntertainmentやソーシャルゲームのSupercellなど、世界に名を知られるスタートアップがこの数年で増えているのだ。

「シリコンヴァレーが世界のイノヴェイションの中心地だと思っていたが、SLUSHを知ってからはその考えが変わった」と、アリババ・グループのCTO、ワン・ジャンはコメントしている。

そんなフィンランドを北欧のシリコンヴァレーに変えた「スタートアップの祭典」が、初めてのアジア版を開催することを決定。彼らが選んだ場所は、東京だった。

本場フィンランドで行われた「SLUSH 2014」の様子。

SLUSH ASIA代表であり、Rovio Entertainment日本法人元代表のアンティ・ソンニネン

SLUSH ASIAも本場と同様、まるで野外フェスのような雰囲気のなかで、ゲストによるスピーチ、スタートアップたちのピッチコンテストやデモといった複数のプログラムが朝から晩まで途切れることなく同時進行する。

午前9時。360度のプロジェクションマッピングで彩られたメイン会場のキーノートステージには、SLUSH ASIAの代表を務めるアンティ・ソンニネンが登場。「すべては去年の12月、世界で最も重要なスタートアップイヴェントでありムーヴメントであるSLUSHのアジア版を開催するという、クレイジーなアイデアから始まりました。そしてわれわれは、そのスタート地点として日本を選んだのです」と、祭典の始まりを告げた。

続いて、スピーカーのトップバッターを務めたC Channelの森川亮が「変化することが力となり未来となる」と語れば、DeNA創業者の南場智子はユーモアのあるプレゼンテーションで「チームとなる人こそが大切」と未来の起業家にアドヴァイスを送った。SLUSH ASIAの運営メンバーであるMistletoeの孫泰蔵、Supercellのイルッカ・パーナネンやRovio Entertainmentのピーター・ヴェスタバッカといったフィンランドを代表する起業家も登場。IDEOのトム・ケリーは「日本はすでに世界一のクリエイティヴィティをもっている」と語り、バイオアーティストの福原志保とメディアアーティストの落合陽一はアートとサイエンスの交差点を考えた。終盤には登山家の栗城史多が、決して流暢とはいえない英語ながらも情熱あるスピーチで自身の登山家人生を語って会場を沸かし、最後はプログラミング教育のための絵本『Hello Ruby』の制作者リンダ・リウカスが、もち前の笑顔いっぱいのスピーチでトリを飾った。

こうしてキーノートステージでは、朝から約7時間にわたって10カ国以上から約30名のスピーカーが登壇。すべてのプログラムが同時通訳なしの英語で行われ、参加者にそこが日本であることを忘れさせる。

メイン会場の隣に位置するピッチステージでは、「High-tech/hardware」や「Education」などの5つのカテゴリーで、国内外から約50のスタートアップが自身のサーヴィスをアピール。ディープラーニングからバイオ、VRまでの幅広いアイデアが披露され、なかにはデジタル絵本を開発するMUUTの、11歳と13歳の若きイノヴェイターの姿も見られた。

ほかにも、キーノートに登壇したばかりのゲストが参加者と直接交流できる「SLUSH CAFE」や、製品を実際に見て触ることのできるデモエリア、スタートアップと投資家が出会えるミーティングルームなどからSLUSH ASIAは構成されている。まさにステージが複数あるようなライヴと同じ。自分の嗅覚を頼りに、いま、どこに行けば最もわくわくできるかを感じながら動かなければいけないのだ。

当日は会場のWiFiがつながらない、タグに名前を印刷するはずのプリンターが故障するといったトラブルもあったものの、それすらもむしろ“ライヴ感”を引き出すための因子となったように思う。日本で初開催されたSLUSHは噂通り、ギークだけのものになりがちなスタートアップの集まりを、誰もが楽しめる祭りに変えたイヴェントであった。

スタートアップはかっこいい──。人々がそう思うことからフィンランドがスタートアップの国へと変わり始めたように、このイヴェントが今後、日本でのスタートアップに対するイメージを変えるポテンシャルを感じて帰ってきた。

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