Q:食道がんと診断され、間もなく治療が始まる予定です。最近、病院によっては、がんの治療と並行して歯科で口腔ケアを行っていると聞きました。どういうメリットがあるのでしょうか。口腔ケアを行っている病院で治療を受けたほうがよいのでしょうか。アドバイスをお願いします。(56歳・自動車整備士)

 A:医科と歯科が連携して治療を行うことを医科歯科連携といいます。体の病気には、歯周病など口腔内のことが関係している場合が少なくありません。
 医科と歯科が連携して治療にあたることで、病気治療の効果を高めることができます。医科歯科連携治療の中でも、がん治療での連携が広まってきました。
 がん治療で手術や放射線、がん剤などを行ったり、抗生物質を使用したりすると、免疫力が低下し口内炎ができることがあります。
 免疫力が低下すると、口腔内に真菌が多くなり、それによって口内炎を発症します。
 口内炎の改善には漢方薬が役立ちます。十全大補湯や半夏瀉心湯などの漢方薬は、口内炎の症状を取るだけでなく、口腔内を口内炎ができにくい状態に改善する働きがあります。

●口腔ケアでQOLが向上
 口内炎ができると、痛いし、刺激のある食べ物がよく噛めません。
 そのことがQOL(日常生活の質)が低下することにつながります。
 それが漢方薬を服用するとともに、歯科衛生士に口腔ケアをしてもらうことによって口内炎が改善し、再発も防げるわけです。
 QOLが下がると、そのことががんの再発や転移のリスクになりますが、口腔ケアをすることで再発のリスク減少にもつながるでしょう。
 口腔ケアによって、口内炎が解消すると、患者さんは精神的にも落ち着いてきます。その効用も大きいと思われます。
 漢方薬には、免疫細胞を活性し、免疫力を上げる作用があるものがあります。十全大補湯にはB細胞を活性化する働きが、補中益気湯にはマクロファージを活性化する働きがあります。
 歯周病を引き起こす細菌は全身の病気と関係があります。食道がんの細胞から歯周病菌の1種が高い割合で検出されたとの報告があります。このことからも、医科歯科連携を行っている病院で治療を受けるとよいでしょう。

渡辺秀司氏(とつかグリーン歯科医院院長、漢方歯科医学研究所所長)
 神奈川歯科大学卒。同大学研修医を経て、横浜市でとつかグリーン歯科医院を開設。歯学博士。歯科領域に漢方を取り入れ、天然素材を配合したうがい薬や歯磨き剤を開発。独自な歯周病治療で名高い。